まず見せる事からが重要
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正直に理由を伝える。
「ルディー君との勝負(お遊びの見栄張り合戦)に勝ちたいから、少しでも見栄えで勝負した……って感じかも(笑)」
とまぁ冗談半分の事実を言ってみせる。
本心は値段と性能のバランスだ。
私のAstlerではアウトドアはほぼ出来ないだろうし、王都内限定にしたって大量ショッピングには適さない大きさの魔道車だし、今日の様な地味なデートしか出来ない。
だからルディー君にはその点だけをアピールして勝負する予定だ。
自分の彼女をアクセサリーの様に使おうとしてる事は口にしなかった……彼女がそれを理解して尊重していてくれてるからだが……
「じゃぁ彼には勝ち目が無いわね。アイツは金を持っては居るけど、買い物センスは壊滅的に無い。どうせまだ購入店にすら行けてないだろうし、今頃は勝手に悔しがっているはずよ。お金だけは持ってるのにねぇ……」
そう言って店舗内に展示してある魔道車を眺めながら、私の方へと戻ってくる。
それを訊いていた販売員が、気持ちの悪い笑顔を顔に嵌め込んで、私が興味なく眺めているボックスバンタイプの近くの席へ誘ってくる。
「面白そうな勝負をされてますね」
勝手に聞いてても口を出してくるなよ!
「勝負の行方は解りきってますけどね」
でも応えたのは彼女……
「ですが勝負を成立させる為に、その彼にここを紹介してあげてもらえませんかね? 彼女さんの仰る通り勝負の行方は明白でも、その彼を少しくらい満足させる事が出来ますから(笑)」
あははははっ、本当に不愉快な販売員だ。
社員教育の必要性を痛感しながら、私は彼女と店を出る。
この販売員への不愉快さを表さない様に努力しながら、私は彼女と頷き合う。
未だに私の方が美的センスは上だとの自覚は存在するし、その旨は彼に表明してるが、それでもあんな男に貶される人物ではない!
しかし考えてしまう……
私も彼と初対面(正式な初対面ではなく、あのパーティー会場での初対面の事)の時は、先程の販売員の様な最低の人間になっていたのだろうか?
思い出せば、あの場には彼の故郷のご両親が居た。
そのご両親に自分の作品を見てもらっているのに、私は自身のプライドの為だけに会話へ割り込み、剰え彼の絵を否定してしまっている。
私という男が最低のクズ過ぎて涙が出てきた。
既に先程の店舗からは発進して時間が経過していた為、帳の降りた西中央地区の名も知らぬ小さな公園に|魔道車《
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