第百三十話 寮生の弁当その十三
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「もうね」
「怖がって当然なのね」
「そりゃ東欧にも吸血鬼いないって思う人いるわよ」
鹿児島の娘はそうした人がいることも話した。
「人それぞれの見方でね」
「それでなのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「吸血鬼がいないって思う人もいるわ、けれどね」
「それでもなのね」
「もうね」
それでもというのだ。
「この学園いたら妖怪いるってわかるし」
「ドラキュラ伯爵もいるから」
吸血鬼の代名詞のこの妖怪もとだ、理虹は言った。
「尚更ってことね」
「そう、だからね」
「東欧の子は吸血鬼怖がるのね」
「それで特にね」
「特に?」
「さっき名前出したヴラド四世と」
この人物と、というのだ。
「バートリー=エリザベートね」
「ああ、あの何百人もの女の人の血を吸ったり血のお風呂に入った」
「実際はしてないって説もあるけれどね」
ハンガリーに力を持っていた彼女の家を邪魔に思っていたハプスブルク家の流したデマだという説もあるのだ。
「ハンガリーの娘でガタイのいい娘いるけれど」
「ああ、日本人とのハーフの」
「チヨちゃんね、あの娘でもね」
「この名前はなのね」
「聞きたくも目にしたくもないってね」
その様にというのだ。
「言ってるしね」
「あんな身体大きくて力ある娘でもなの」
「あのお話本当だってね」
何百人も殺しその血の風呂に入った話をというのだ。
「信じてるのよ」
「本当だって」
「だから鉄の処女とかね」
その彼女が使い少女を殺しその血を搾り取ったという拷問器具である。
「自分の前で言うなってね」
「言ってるの」
「それであの娘いつも東欧の娘達と一緒にいるでしょ」
「同じ日本人とのハーフのね」
「その娘達もなのよね」
「吸血鬼怖がってるの」
「それで特にね」
理虹にさらに話した。
「この人をね」
「怖がってるのね」
「死んだけれど」
その悪事が遂に露呈し城に死ぬまで監禁されたという。
「吸血鬼だからね」
「死んでないって言ってるの」
「あの娘が特にそう言っていて」
「チヨちゃんが」
「もう名前を聴いたり目にするだけで」
「嫌だっていうのね」
「もうね」
それこそというのだ。
「悪魔なんかより遥かによ」
「吸血鬼を怖がってるのね」
「ええ、だから死体をね」
埋葬されたそれをというのだ、東欧もキリスト教圏であるので土葬である。
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