第37話
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「すまないがその件については守秘義務があっておいそれと話すことはできないんだ。――――――ああそれとアルベール。君の口ぶりだと大方旧首都でのヴァンの評判だけでヴァンを怪しげな人物だと決めつけているようだが、彼はあたし達のアラミスへの留学の為のお金を出してくれているメンフィル帝国の貴族もそうだが、皇族の一部からも信頼されて互いの連絡先の交換も許された人物だよ。”貴族もそうだが皇族への直通の連絡先を知る事が許されることがどういう意味を示している”のかは、アニエスの事を心配している君ならわかるんじゃないかい?」
「な、な、な…………っ!?」
「ええ〜っ!そんな気になることを聞いたら、益々二人とヴァンさんの間に何があったか気になるよ〜!」
レジーニアの指摘を聞いたアルベールが口をパクパクさせて信じられない表情を浮かべている中、オデットは興味ありげな様子で声を上げた。
「クスクス…………いきなり来て騒がしくしてごめんなさい。私達、アラミス高等学校で”生徒会”をやっているの。アニエスも庶務としてずっと一緒にやってきた仲間でね。ウチの会計君も心配でたまらなくなっちゃたみたい。レジーニアさんとアンリエットさんは”生徒会”ではないけど、偶然にもアニエスのアルバイト先の”雇い主”とアラミスに来る前からの”お知り合い”だそうだから、二人には不慣れな旧首都の案内も兼ねてこうして私達と一緒に挨拶をする為に訊ねさせてもらった次第よ。」
その時レンが微笑みながらヴァンに理由を説明した。
「…………いや、気にすんな。その心配もごもっともだしな。あくまで彼女自身の意志を尊重すんのは変わりねぇが。」
「ぐっ…………!」
「ヴァンさん…………」
「ま、結局はそこだしねぇ〜。」
ヴァンの答えを聞いたアルベールは唸り声を上げ、アニエスは目を丸くし、オデットは苦笑していた。
「うふふ、くれぐれも安全には配慮してくれると助かるわ。生徒会長としても、だけど”同じ寮のお隣さん”としてもね。――――ほら、アルベール君。彼女はまだ用事があるみたい。私達はこれで失礼するわよ。」
「ま、待ってください先輩っ、僕はまだ…………!」
レンに自分達と共にこの場から立ち去るように促されたアルベールはレンに反論しようとしたが
「アルベール君――――――頼んでおいた例の予算割り当てはどうなってるの?当然、終わらせてから来たのよね?」
「そ、それは…………」
意味ありげな笑みを浮かべたレンに問いかけられると口ごもった。
「ふう…………アニエスは面倒な購入申請をとっくに終わらせてくれてるわよ?まずは自分の筋を通しなさい。人に意見するのはそれからよ。」
「…………うう…………」
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