MR編
百六十二話 姉、襲来(前)
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っちに出てこれる?」
『はい!日本へおかえりなさい、博士!』
軽い電子音と共に、タブレット上にユイが姿を現す、初めてユイに関する話をした際に、彼女のアカウントと連絡先はユイにも伝わっている、その為ユイだけは、割としょっちゅう怜奈と顔を合わせているのだ……が……
「あぁん、今日も可愛いわユイちゃん!抱きしめたい!」
「そればっかかアンタは」
「なによう、もう、こっちはユイちゃんに会うために帰ってきてるって言っても過言じゃないくらいなんだからね!」
『私と博士は昨日も一昨日もお話ししていますが……』
いまいち怜奈の言いたいことが理解できないらしいユイが戸惑った様子で応答するのを、明日奈は苦笑しなしがら見守るしかない。なんとなく分かっていたがこの女性はどうやら割と身内に弱い、そして彼女自身が生み出した存在であるユイはその最たるものであるらしい。
「そんなこと良いから!どうユイちゃん、上手くやってる?カズ、明日奈さんも、最近ユイちゃん関係で変わった様子とかはない?」
『はい!問題ありません!』
「こっちも、目立った問題は起きてないよ、アスナ?」
「うん、いつも元気です」
「そう、よかった……小さなことでも、何か気になる変化があったりしたら教えてね」
ウィンクをする怜奈の視線はチャーミングだが、その目には真剣な光を帯びている。彼女に言わせると、今のユイはあくまでも「経過観察」の最中なのだという。 元々の彼女の性能ではありえないほどの高い言語能力や共感性、そしてそこに至るにあたっての悲しい経過を考えるに、今のユイがこの状態で安定しているのは怜奈をしても奇跡と言わざるを得ないほどの偶発的なバランスで成り立っている出来事で、その原理は専門家である彼女にもわからないらしい。そしてそうである以上、いつどんな出来事をきっかけとしてそのバランスが崩れてしまうとも限らないと少なくとも怜奈は考えている。
だからこそ、たとえどんな小さな変化でも見逃さずに経過を見ておきたい、というのが彼女の言。 明日奈にしても和人にしても、ユイ自身の心の健康と安定以上に大切なものなどある筈もなく、全面的な協力を約束している。
これはそのために何度も繰り返してきた問答の一つだ。
「あ、そうだ。 こっちからも紹介したい子がいるのよ、ちょっと待ってね……あ、カズ、ユイちゃん持って」
「おう」
タブレットを和人に預けた怜奈は携帯端末を取り出すと、何かしらの操作をして画面をこちら側に向ける。そこに、ジッとこちらを見るひとりの少女が移っていた。紫がかった銀色のブロンドに、白磁のような、それでいて触らずともわかるほどの弾力を思わせるみずみずしい肌。ガーネットを思わせる明るい深紅の大きな瞳は、此方を見つめてぱちりと瞬かれている。
「さてと、ストレア、ご挨拶して」
『
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