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SAO─戦士達の物語
MR編
百六十二話 姉、襲来(前)
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『えっ!?』
「そう、ですけど、分かるんですか?」
てっきりプローブを見せても中身はユイだと思われると考えていた明日奈は少しだけ瞠目して彼女を見返すも、当の本人は何ということもなさそうに軽く肩をすくめて見せる。

「さっきから見てたけどその子、ユイちゃんの視線の動きにしては有機的すぎるもの。平たく言うと、あの子はそんなに必要もないのにキョロキョロしないの。好奇心が強くて、ちょっと落ち着きがない子がカメラの向こうにいるんじゃない?」
『ぅ、ぼ、ボクそんなに落ち着きないかな?』
「それはノーコメントかなぁ......すみません、隠してるつもりはなかったんですが……」
成程、視線の動きの特徴から元が AI であるユイと人間であるユウキの特徴を見分けたという事らしい、驚きはしたものの、彼女が元々なんの専門家であるかを考えれば当然と言えば当然の知見だし、何よりも涼人の姉であるという事実が、 その観察力に妙な説得力を付与していた。

「いいのいいの、割と私のペースでずっと挨拶させてもらってたし、タイミングなかったでしょ?」
「っていうより怜姉さんは割とガッつきすぎなんだよな……」
「ちょーっと、人をケダモノみたいに言わないでよね」
若干呆れ気味な従弟の声に返しながら笑う怜奈に、少し慌てた様子でユウキの声がスピーカーにした端末から響いた。

『えっと、ボク、紺野木綿季って言います!アスナと、涼人さんたちの友達です!』
「紺野……あぁ、成程……初めまして、涼人の姉の怜奈です、いつも弟がお世話になってます」
『えぇえ、お世話なんて、全然!』
「ユウキ、そういう時は、こちらこそって言うの」
『あ、え、えと、こちらこそ、いつもリョウ、さんにはお世話になってます!!』
「やだ、可愛い……抱きしめたい……」
キュルキュルと動いて怜奈に頭を下げているらしいユウキの声が、昼の飛行場に良く通る。その様子が何かの琴線に触れたのか、怜奈は改めてまじまじと明日奈の肩のプローブを観察し始めた。

「これ、ジャイロとカメラで操縦者の任意に視覚を回して送ってるのよね?マイクは携帯のを使ってるの?」
「あぁ、ウン、そうなる」
「ガワは自作?結構スムーズに動いてるじゃない、頑張ったわねカズ」
「いや、市販品くっつけただけだよ、単なる回転カメラみたいなもんだし、むしろ中身の方が問題でさ、半分くらいは兄貴の作みたいなものだから」
「へえーぇ」
意味深な視線を送る怜奈の表情が照れ臭かったのか、何やらうっとおしそうに涼人は手を振って視線を逸らす。そんな弟の様子に嬉しそうに見る怜奈の視線に温かいものを感じているうちに、 怜奈は自分のタブレットを取り出していった。

「でも、そうしたらあんまりアスナさんのバッテリー使わない方がいいわよね。 ユイちゃん、こ
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