MR編
百六十二話 姉、襲来(前)
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に、海外ではあいさつ代わりにハグをする者もいると聞くが、それは相当親しい……いや、親族なのだからおかしくは無い、あまり日本では見かけないだけの話だとどうにか納得して結論付ける、心の整理をつける間に彼女は和人を解放していた。
「さてと、つーぎーは、美幸〜!久しぶりぃ!!」
「ぱぅ」
再びおもむろに接近した怜奈の身体に、成すすべなく少し前に出た美幸がくるまれた。こうしてすぐ近くに立ってみると、より彼女の身長の高さが際立っている、180前後はあるだろう身長は美幸の身体をしっかりと包み込んであまりある程で、けれど大人と子供程もある身長差でありながら、彼女たちの顔にはお互い安堵と慈愛が浮かんでいる。
「ふふ、久しぶり怜ちゃん。元気だった?」
「も一大変よ、さっきまで仕事ばっかりしてて、でも美幸の顔見たら一気に元気になったわ」
「良かった、お疲れ様」
「うん、ありがとう」
抱き合いながら伝え合う言葉の愛情深さに、他人事にも関わらず自然と頬が緩むのを自覚する。一方怜奈はと言うと、美幸に抱き着いた姿勢のままで、視線を動かしてその向こうの詩乃に微笑みかけた。
「しーちゃんおいで〜」
「ちょっと、もう、れい姉ちゃん子供にいうみたいに言うのやめて」
「……来ないの?」
「~~っ行くけど!」
不満げにはするものの、どこか子供っぽい表情でうるうると自分を見つめる二人目の姉替わりの視線には流石の詩乃も勝てないらしい。 どこかあきらめたような表情で接近し、包まれるように二人から迎え入れられる彼女はしかし、歩み寄っていくときは少しだけ不服そうにも見えたその表情は、 二人の腕に抱かれる瞬間には安心しきったものになっていて……
「聞いたわよ、バイト始めたんだって?どう?大丈夫?」
「うん、今はとりあえず平気。同じ所の先輩も、良い人たちだし」
「しーちゃん、最近ちょっとずつレパートリー増えてるんだよ、いろいろ教えてもらえるんだって」
「へぇぇ!じゃあ今度しーのもごちそうしてほしいなぁ」
「いいけど、 美幸お姉ちゃんのみたいなのは期待しないでね」
「了解、期待してる!」
「もぅ……」
そんな話をひとしきりして、ようやく二人も解放される、そうして最後に残った明日奈の方へと向き合った怜奈は、まっすぐに彼女を見て爽やかな笑みを浮かべていった。
「さて!それじゃあ、あえて初めましてから始めましょうか!あ、とりあえず挨拶がてらにハグとかどう?」
「え、えぇっと、 先ずはお話をしてからに??????」
「あら、恥ずかしがらなくていいのに。それじゃあ……ほらカズ、ぼっとしてない、こういう時は貴方が紹介してくれないと」
「お、おう、了解」
言われた和人は咳ばらいを一つ、未だに少々緊張の抜けきらないアスナと怜奈の間に立って、先ずは右手でアスナを
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