MR編
百六十二話 姉、襲来(前)
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それこそ山のようにいる。その事を考えれば、自分の方が一人に合うだけで緊張している場合ではないのではないか。
「(…………)」
そんなことを考えていると年始、京都の本家で見た親類縁者たちの顔を思い出して内心でため息を一つ。あの面々に和人をあまり会わせたくないと考える自分は多分、少しばかりあの環境がトラウマになっているのではないだろうかとすら思う。
「明日奈は怜ちゃんと、電話では話した事あるんだっけ?」
「うん、 ユイちゃんの事で一回だけ。でもあの時はキリト君がほとんど話してて、私は挨拶くらいだったから……」
『ママ、大丈夫です、博士とママのマッチング率は80パーセントを超えています!』
「う、うん、そうだね!」
それ、どういうマッチング?などと思いつつも、ユイの声を聴いて明日奈は自然少しだけ気合が入るのを自覚した。怜奈は涼人の姉であると同時に、ユイの開発者…………言ってしまうと「生みの親」でもある、今も米国の大学で AI の研究と開発を続けている研究者でもあり、多くの企業との連携も行っているらしい。気後れはあるが、ALOでの一連の出来事の後正式に面談して、ユイを任せてもらった「育ての親」 としては、あまり情けないところを見せるわけにはいかない。
「涼兄ちゃんからは何かないの?れい姉ちゃん対策」
「あぁ、 対策だぁ?人の姉捕まえて随分だな……んー、別にねぇな。つか最初にスグが言ったろ、特に心配する事なんざねぇよ。着いたぞ」
そんなことを話している内に、一行はターミナルの東の端へと差し掛かる、高い天井が明るく照らし出される北側の壁は大きなガラス張りで、たっぷりと光を取り込むとともに、向かって右奥のエスカレーターを登り空中回廊へと上がれば、手荷物検査ゲートを通る事なく駐機している飛行機を見る事もできるらしい。とはいえ今は先ほどのように飛行機に用があるというわけではない。
「あ、居た居た! れい姉ちゃんー!」
直葉が指さす先、ちょうどゲートから出てきた一団の中にいた人影の一つが、その声に反応してこちらを見る。
絵になる人だな。第一印象で、明日奈は素直にそう感じるに至った。
赤いスーツケースを引くその女性は、機内に居たためだろうか少し厚手のオフホワイトのセーターにダメージジーンズ姿の動きやすそうな格好で、ピンと伸びた背筋がすらりとした肢体をより強調している。 見た目以上に姿勢の良さが際立って見えるのは、彼女が周囲に居る外国人の人々と比べても見劣りしない長身だからだろう、厚手の上からでもわかる程度には凹凸のはっきりした身体のラインを持つ長身の女性が姿勢よく歩くその姿は、それこそ雑誌や動画で見たモデルの姿を思わせる。
正しく大人の女性、そんな印象を訴えてくるその姿に益々自分の中の緊張感が高まるのを自覚した明日奈をよそに、こちら
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