第四章
30.順調ゆえに
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「ったく、なんなんだ。あいつはっ」
「落ち着いてください。仲良くいきましょうよ」
「無理に決まってるだろ!」
「そんなに荒れないでよ、シェーラちゃん。せっかくの美人が台無しだよ」
「これが荒れずにいられるかっ」
空になった酒の器をテーブルに叩きつけるバーサーカーの少女・シェーラに、それをなだめるフォルと自称キラーマシン使い・タクト。そっと近づいてきたブリザードが、器に酒を注ぐ。
「今度はこの祠の中を酒場代わり、か。なんかもう、アンタらすごいね……。一周回って尊敬する」
ロンダルキアの祠の主であるミグアは、テーブルに座る面々に対し冷めた言葉を浴びせた。
「飲まねえとやってられねえんだよ。わかってくれ」
窓からアークデーモンの声が飛んできたため、彼女は真っ白な顔をそちらも向ける。
「ヒースとダスク、だっけ。二人とも窓越しに飲み会に参加しようとするのやめてくれる? まあまあ鬱陶しい」
「お嬢ちゃんや。ここの祠の扉を大きくしてくれんかの? わしらは体が大きくて入り口を通れぬのじゃ」
「後ろ向きに検討しとく」
老アークデーモン・ヒースの無茶な要求に、マフラーを直しながら大きなため息をついた。
「で、詳しい説明は教団代表であるキミがしてくれるってことでいいの?」
少女の碧い瞳が、この祠に来るたびにすまなそうに縮こまっているフォルへと向く。
今日も悩みの相談のために一人で来る予定だったのだが、嗅ぎつけたいつもの面子がついてきてしまっていたのである。
「はい。実は、内部が微妙にギクシャクしてまして悩んでいます。大きな問題になる前になんとかしたいなと」
「ギクシャク?」
フォルは、かつてベラヌール支部およびテパ支部に所属していた信者がロンダルキアに合流したこと、彼らのまとめ役だった祈祷師・ケイラスが対外強硬派であり自分や他の面々と意見がぶつかることが多いうえに、他種族への態度が問題視されていることなどを説明した。
それを聞いて、ミグアが首をひねる。
「シェーラはそのケイラスとやらに意見が近いんじゃないの? アンタ、いかにも過激派っぽいけど」
「それとこれとは別だ。あいつの態度が気に入らねえ。なんであんなに偉そうなんだ」
「アンタもけっこう偉そうだけど」
「うるせえ!」
「というかアンタ、フォルともそんなに合ってないでしょ。いったい誰となら合うの」
「フン。別にこいつは殴ろうとまで思ったことはない」
「初めて見たとき、お墓の近くで殴りかかってた記憶があるけど」
「大昔の話を蒸し返すなっ」
またバーサーカーの少女は強めに器を打ち付ける。
「だいたい、あいつは今まで何をしてたんだ? ロンダルキアがとんで
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