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邪教、引き継ぎます
第四章
30.順調ゆえに
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クトは、続けた。

「予言しよっか? またすぐに他の支部の残党さんたちがやってくるよ。その後も下界の信者の合流は続くね。そうなるとさらに新しい問題は起きると思う。同じような問題なのか、全然違う問題なのか、それはわからない。でもその都度、考え方が違うとか、組織から見て扱いにくそうとか、誰かと対立しがちとかいう理由だけで人を切り捨てていくわけにもいかないでしょ? そんなことをしたら、仲間が増えなくなっちゃって教団の再建もうまくいかないもんね」
「……」
「しかも、今回の彼については位が祈祷師で、支部の残党をまとめ上げてここまで連れてきてくれたってことは、能力自体は高いかもしれないよね? もし他のみんなとうまくやれるなら、むしろ心強い味方になると思うんだよなあ」
「あ、それは私も同じ思いです」
「じゃあ、おれとシェーラちゃんも手伝うから、めげずに彼と対話していこうね」
「なんでオレが手伝うんだよ……」

 白い少女が、先ほどよりも大きく息を吐いた。

「結局ただの精神論で、何も解決してないという見方もできそう。本当に大丈夫なの」
「大丈夫。ハーゴンのときには信者が無数にいたのに、組織を揺るがすほどの内紛はなかったみたいだし。ねえ? フォル君」
「はい。そうだったと思います」
「フォルはハーゴンじゃない」
「そうだけど、フォル君はフォル君のよさがあるよ。これも予言しようかな。問題の彼も、そのうちフォル君のことが好きになる。好きになれば、フォル君の言葉にも耳を傾けてくれるんじゃないかな」



 ◇



 我々はザハン支部の残党。
 そう名乗る十数名の信者が神殿にやってきたのは、その二日後であった。

「ロンダルキアで教団再興の動きがあると聞き、参りました。受け入れをお願いしたく」

 うわ本当に来たな――と小声でつぶやくシェーラに、ドヤ顔をするタクト。
 フォルは若干の驚きこそあったが、やはりそれよりもうれしさが勝った。その集団のまとめ役と思われる男性の手を取り、頭を下げた。

「よくぞご無事で! 皆様を歓迎します。一緒に仲良く頑張っていきましょう」
「よかった。ここまで来た甲斐がありました。ありがとうございます」
「こちらこそありがとうございます。仲良く頑張りましょう」
「はい。ぜひ」
仲・良・く(・ ・ ・)、一緒に頑張ってくださるとうれしく思います」
「……?? 何かあったのでしょうか?」

 とにもかくにも、人数は着々と増えていく――。
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