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邪教、引き継ぎます
第四章
30.順調ゆえに
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のを見て、タクトは慌てたように手のひらを向け、振る。

「別に隠してないって。誰にも聞かれなかっただけ。みんなここまで本当に必死でやってきたから、おれのことなんて『なんか胡散臭(うさんくさ)い奴』くらいな感じのままで、深く気にする余裕もなかったんじゃない?」

 たしかに、と、場の緊張が解かれる。

「ハーゴン様と同じくらいの歳だったのですか。老化がないって、きっと素敵な故郷だったのでしょうね」
「フォル君。それは前にも言ったけど、今は全然素敵じゃない」
「どうしてです?」
「何百年も生きた人間がどうなっていくか、わかる? みんな無気力で何もしなくなるんだ。健康なはずなのに、毎日ご飯食べてウンチして寝るだけになる。そんな人しかいない世界が想像できるかな。地獄でしょ?」
「え? ハーゴン様は気力も体力もみなぎっている感じでしたけど」
「んとね、フォル君。それはきっとハーゴンがすごいんだ。三百年以上も生きていたのに、世界そのものを変えようとまで思っていたんだから。フォル君も含め、みんな誇っていいよ。たぶん、みんなは本当に偉大なリーダーの下にいたんだと思う」

 フォルの頭は自然に下がっていた。亡き大神官ハーゴンに、そして、そのハーゴンに会ったことがないのに偉大だと評価してくれたタクトに。

 一方、窓から突っ込むように差し込まれていた老アークデーモンの頭が、微妙に傾く。

「む? しかしタクトは決して無気力な感じではないよの? むしろイキイキしとるように見える」
「うん。おれも異端なのさ。ハーゴンのような野望はないけど、つまらないのは嫌だ。面白いものを見たい。だからこっちに逃げてきたんだ。おかげで今は楽しいよ。ハーゴンの後を継いだフォル君が破壊神を呼び出してくれるのをワクワクしながら待つ毎日さ。ふふふ」
「シドー様は亡くなりましたが……」
「おれはシドーって完全な破壊神じゃなかったと思うけどね」
「えっ」
「失礼な言い方で悪いけど、人間に倒されてるから。それじゃあ破壊神じゃなくて破壊され神だ」
「……」
「悪魔神官の研究資料の読み込み、早めに頼むよ」

 ニターっと笑う短髪の青年。

「ってことで、話はだいぶ逸れたけど。おれからフォル君に助言するなら、そうだなあ……。うん、頑張って」
「まったく助言になってない」

 話を彼に振った白い少女は、後悔するようにボソッと突っ込みを入れた。
 この場全体も、今の時間はなんだったのかと、呆れムードに包まれる。

「ふふふ。だって薬草のようにすぐ効く策は思いつかないもん。今後はこういう問題が常に存在し続けるもんだと思うしかないんじゃ? ミグアちゃんの言ったとおり、良くなってくるといろんな人が集まってくるし」

 しらけた雰囲気をまったく意に介さないタ
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