第四章
30.順調ゆえに
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もないことになってたのは知ってたはずだ。そのときは助けに来なくて隠れてて、こっちがちょっと調子よくなってきたらノコノコ合流してきてデカい顔か? ふざけんなっての。
んでよ。あいつフォルに対しても遠慮なく言いたい放題なんだよ。ここまでロンダルキアを立て直したリーダーはフォルだ。あいつじゃない。祈祷師ってだけでそんなに偉いのかって話だ」
「アンタもフォルに対して割と言いたい放題に見えるんだけど」
「なんかこいつは言いやすいんだよ」
「じゃあ向こうもそうなんじゃないの。というかさ、その祈祷師に文句があるなら直接言ってみたら」
「言ったよ。その態度なんとかしろって」
「あっそう。どうだったの」
「『黙れ』『なぜ女が神殿にいる。家で洗濯でもしてろ』『バーサーカーなら仮面を着けておけ。素顔を晒すな』だとさ。舐めてるだろ」
なるほど、それはちょっとひどい――。
ミグアはいちおうの共感を示すと、真っ白なマフラーを直した。
「人間って、勢いのあるところには群がって、落ちぶれたり苦しくなったりしたところからは去っていくものだとわたしは教わった。キミらが順調ならば、そういう癖のある人間が登場する可能性も当然出てくるということなのかな」
「ああいうのがまだ増えるかもしれないのか。フォル、なんとかならないのか?」
フォルは額を押さえた。どうすればよいのかわからないのである。
バーサーカー以外の種族からも苦情が出ており、一度フォルからケイラスに話はしていた。しかし彼はフォルより年も位も上。おかげで強く言うこともできないせいか、あまり態度が変わらなかった。
「タクトは人生経験が豊富なように見えるけど。アンタから何かフォルに助言はないの」
「あ? コイツどう見ても若いだろ」
意外な人物に話を振られたと思ったのだろう。バーサーカーの少女の目が丸くなった。
「……本当に若いのかな。わたしは怪しいと思ってる」
「ワシも祠のお嬢ちゃんに賛成じゃ」
窓の外の老アークデーモンからも賛同の声。全員の視線が、割と筋肉質で体格のよい短髪の青年に集まる。
「お、鋭いねー」
自称キラーマシン使い・タクトは、飄々とした表情でそれを受けた。
「おれ、肉体年齢は二十五歳だけど、実年齢は三百歳くらいだね。おれの故郷は、そこにいるかぎりは老化しないところだったから、みんな何百歳という人間ばかりだったよ」
もしかしたら千歳超えもいたかも? と、おどける短髪の青年。
対する全員は、しばし言葉を失った。
「またとんでもないことを隠してたな? お前は本当に味方なのか」
静寂ののち、この場を代表するように言うと、バーサーカーの少女はタクトを睨んだ。
斧まで握られた
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