第八十六部第五章 傍目に見つつその一
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傍目に見つつ
ジャバルはマウリアの首都ブラフマーにおいてエウロパの教育改革の話を聞いた、そしてまずはこう言った。
「これから詳しくだ」
「見てですか」
「調べてですか」
「そしてマウリアに含められる部分があれば」
「採用していきますか」
「人間の能力に違いはない」
ジャバルは周りに答えた。
「所詮な」
「カーストに関わらずですね」
「それで、ですね」
「違いはないですね」
「人間は」
「バラモンでもアウトカーストでもだ」
カーストの最上位にある者でもその外にあるつまりカーストでは人間として認められない様な者でもというのだ。
「やはりだ」
「人間ですね」
「このことは変わりないですね」
「カーストでそう定められていても」
「それでもですね」
「そうだ、カーストの中にいる者がどう言ってもだ」
差別をしてもというのだ。
「それでもだ」
「そのことは変わらないですね」
「人間の能力は」
「だから教育を受けるとですね」
「それで人材は育ちますね」
「そうだ」
その通りだというのだ。
「だからだ」
「それ故にですか」
「エウロパの教育改革に見るものがあれば」
「それが我々に役立つ部分があれば」
「その時はですね」
「マウリアもっと言えばアウトカーストに合う様にな」
その様にしてというのだ。
「そしてだ」
「採り入れて」
「そして教育を受けさせ」
「優れた人材になってもらう」
「そうなってもらいますね」
「そうだ、これからアウトカーストはだ」
つまり自分達はとだ、ジャバルは周りに話した。
「虐げられ疎外されはしない」
「むしろ逆にですね」
「社会の中心となる」
「我々がマウリアを支配する」
「その様になりますね」
「連合はエウロパの貴族制度は批判する」
こちらはというのだ。
「そうだな」
「それも常にです」
「何かあれば批判します」
「差別だ人権問題だ」
「人間に階級があってはならないと」
「だがマウリアのカースト制度は批判しない」
こちらはというのだ。
「一応批判はしてもな」
「その声は小さいです」
「常にそうです」
「まるでどうでもいい様です」
「ほぼ無視しています」
「だが実はこちらの方が厳しい」
その差別の在り方がというのだ。
「実にな」
「エウロパは確かに貴族が存在します」
「階級制度は存在します」
「ですが貴族も法律の中にあります」
「特権はありますがその分処罰も重いです」
「平民に対する無体な行いは禁じられています」
それも厳しくだ。
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