第8話 もう一人の魔法少女
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
手を押さえつけて動けない状態のなのはを見下ろすように化け物が唸りを上げる。
ダラリ…
化け物の口から垂れた唾液がなのはの頬に掛かる。
嫌な匂いが鼻についた。そして、その匂いが同時に彼女の中にあった恐怖心を更に煽り立てた。
必死に逃げ出そうともがくが子供の力では振り解く事などできず無駄にじたばた動くだけで終わった。
そんななのはに向かい化け物が雄叫びを挙げる。
勝利の雄叫びだ。
もうなのはに抵抗する力などない。
今やもう食べられるだけの餌と成り果てた。
そう言う意味の篭った雄叫びだったのだ。
そして雄叫びを挙げ終わった後、なのはに向かい巨大な牙を突き出してきた。
「い、いやぁ!」
咄嗟に首を右に思い切り捻った。
それが幸いしたのか化け物の牙は地面に突き刺さった。
なのはに外傷はない。
しかし、それも唯のまぐれだ。
次はない。
次こそは確実に自分の体に鋭い牙が突き刺さる。
そう感じ取ったのだ。
(嫌だ、嫌だ! こんな所で死にたくない! 助けて、ハヤタさん、甲児さん、ユーノ君! 誰か、誰かぁ!)
声にならない叫びを上げる。
しかしそんな叫びを上げた所で誰も助けに来る筈がない。
無情にも化け物の牙が迫ってきた。
が、その時、化け物を横から何かで弾き飛ばしたかの様に横っ飛びに吹き飛んでいく。
吹き飛ばされた化け物は付近の巨木に体を激突させて地面に倒れこむ。
「え? 誰!」
誰かが助けてくれた。
そう思えたのだろう。
なのはは化け物とは反対の方向を向く。
其処には一人の少女が居た。
年頃はなのはと同じ年であろう。
金色の長い髪を両端に束ねた髪型に黒を基調としたバリアジャケット。
そして鎌か斧のどちらかを思わせる形をしたデバイスを手に持っている。
「間に合って良かった」
「えっと、貴方は?」
「下がってて、アイツの相手は私がするから」
それだけ告げると少女はなのはを通り越して化け物の前に立つ。
そして持っていたデバイスを構える。
化け物が今度は少女に狙いを定めて唸りを上げる。
「ジュエルシード…回収させて貰うよ」
静かに、澄んだ様な声でそう呟く少女。
その直後、一瞬の内に少女の体は化け物の目の前に来ていた。
それには化け物は勿論なのはも驚かされた。
「は、早い!」
それが思わずなのはの口から出た言葉であった。
あの少女はとても素早く動けるのだ。
その目の前で少女がデバイスから発せられた光の刃を思い切り化け物に叩き付けた。
化け物の腕に傷が付き化け物が痛みの叫びを上げる。
カウンターに腕を振るったが、そんな物に少女が当たる筈もなくかわされカウンターに今度は顔面に刃が叩きつけられた。
「凄い、あの子…凄く強い」
圧倒的であ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ