暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第205話:絞り出される怒り
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して一気にミラアルクが居る高度まで上昇する。迫りながら大剣を構える翼に、ミラアルクは舌打ちをしながらも片腕だけを肥大化させてその一撃を受け止めた。

「このっ!」
「その腕、その耳、やはりただの人間ではないな。貴様、一体何者だッ!」

 ミラアルクが錬金術師である事は既に理解している。そしてここ最近、錬金術師といざこざが起きている事に加えてその錬金術師とジェネシスが手を組んでいる事も把握していた。これらから導き出される答えは、ミラアルクもまた先日空母を襲撃した錬金術師の仲間であり、彼女もまた聖骸を狙っている一味であると言う事に他ならない。そんな輩が何故自分達のライブを襲撃しようとするのかが分からず、翼は剣戟をお見舞いしながらその真意を問い質そうとした。

「答えろッ! 貴様ら、一体何が望みだッ!」
「うるせえんだ、ゼッ!」

 翼の攻撃を受け止めつつ、ミラアルクはもう片方の腕も肥大化させそれでもって翼を殴りつけた。一撃放った直後の翼は、この攻撃を完全に受け止めきる事が出来ず地面に向けて殴り飛ばされてしまった。

「うぐっ!?」
「翼さんッ!」
「案ずるな、大した事は無い……!」

 地面に叩き付けられた翼を心配する響だったが、翼は即座に体勢を立て直す。その様子に腹の底から呻き声を上げながら、ミラアルクはいよいよ限界である事をベルゼバブに告げた。

「おい魔法使いッ! こっちはもう限界だゼッ! お前らもそろそろ退いた方がいいんじゃないか?」
「何を……! この程度の連中に、我々が後れを取るなど――」

 ミラアルクからの提案を渋るベルゼバブだったが、直後放たれたガルドの一撃に大きく吹き飛ばされた。

「そこだッ!」
「しま、ぐぉぉっ!?」

 魔力の奔流に吹き飛ばされるベルゼバブ。見渡せば他の増援のメイジ達も、マリアの参戦により調子を取り戻した切歌と調、そしてクリスと透のペアにより数を減らしていた。
 この状況に、ジェネシスも限界を察し後退する事を余儀なくされた。

「ちぃ、ここまでか……オーガッ!」
「クソがぁッ!」

 ベルゼバブからの合図に、オーガも憎々し気に叫びながら先程颯人から吸収したブレスを周囲に放ち見境なく周囲を破壊した。強烈な火炎に、颯人と奏はともかく他のS.O.N.G.の仲間達が被害を受けそうになる。それを黙って見過ごせる2人ではなく、彼らは後退するジェネシスの追撃よりも仲間と周囲の安全を守る事の方を優先させた。

「アイツら、自棄起こしやがって……! 奏ッ!」
「任せろッ!」
〈ブレイブ!〉

 奏の背中から広がった炎の翼が、オーガの放ったブレスを受け止め周囲と仲間達を優しく包む。お陰で必要以上に被害が広がる事は防げたが、代わりにジェネシスとミラアルクにはまんまと逃
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