第3部
サマンオサ
深夜の来訪者
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結局ユウリたちを見つけることは出来ずルークの家に戻った私たちは、すぐにコゼットさんに事情を説明した。
「それは心配ね……。もちろん私はミオさんが泊まっていくのは賛成よ。こんな狭いところでよければだけど」
「……何から何まですみません」
急な私の申し出にも拘わらず、コゼットさんは了承してくれた。しかしそれは、ルークの説得があったからこそだった。
「とにかく三人が戻ってこない以上、僕らもどうすることも出来ない。明日の朝になったら城の兵士たちもいると思うから、すぐに行ってみよう」
「うん……」
励ますように話すルークの言葉にも、私は上の空で聞いていた。ランシールでユウリを待つときとは訳が違う。三人がどこにいるのかもわからない状況の中、不安だけが頭をもたげる。
そしてふと、前にナギが見た夢のことを思い出す。あのときは私以外の三人が草原みたいなところにいたとナギは言っていた。もしかしたら今の状況を指しているのではないだろうか?
??だけど緑のないこの場所は、果たしてナギの予知夢と関係があるのだろうか。もしあるのだとしたら、一体どこなのだろう。
「さあ、お腹空いたでしょう。大したものはないけれど、食べてちょうだい」
いつの間にかコゼットさんが、食事を運んでやってきた。四人がけのテーブルには、お芋と野菜を煮込んだスープとパンが並べられている。
「ほらミオ。君が元気を出さなきゃ、三人を探すことも出来ないよ。元気を出すには、まずは何か食べなきゃ」
「……ありがとう」
ルークに促されて椅子に座ると、あることに気がついた。
「あの、コゼットさんの分の料理が見当たらないですけど……」
「ああ、気にしないで。あなたたちが来る前にもう食べちゃったのよ」
ニコニコと笑顔で答えているが、本当にそうだろうか。ご飯を食べたばかりにしては、随分と顔が青白い。それに、ルークの家の生活費はほとんどルークが稼いでいることは本人から聞いている。そんなけして裕福ではない環境で、私が突然押し掛けてきたのだ。きっとコゼットさんの分の料理を私に譲ったに違いない。
「あの、コゼットさん。私の分……」
「母さん。余計な気遣いしないでよ」
「え?」
ぴしゃりと言い放つルークの言葉に、コゼットさんは一瞬目を瞬かせる。
「朝も僕の分しか食事用意してなかったじゃないか。このままだと栄養失調になっちゃうよ」
そこまで言うと、ルークは自分の前にある料理をコゼットさんが座ろうとしている椅子の前に移動させた。
「お客さんの一人や二人の食事が賄えるくらいには、稼いできてるつもりだけど?」
「で、でもルークは育ち盛りだから、たくさん食べないと……」
「そういうの気にしないでいいから。それにミオも気を遣っちゃうよ」
ね? と言って私の方を振り向くルーク。思わず私
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