第3部
サマンオサ
深夜の来訪者
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かに知られるわけには行かねえんだ。いいか、お前に伝えたいことがある。それが終わったら、また戻らなきゃならない」
「戻るって、どこに?」
「城の地下だ」
「なんで!?」
突拍子もない発言に、つい反射的に叫んでしまった。
「要するにオレら、捕まっちまったんだよ」
「は!?」
想定外の答えの連続に、頭の回転が追いつかない。そういえばナギ以外の姿が見当たらない。
「え、じゃあユウリとシーラは!?」
「あいつらは城の地下にある牢屋の中だ。城を抜け出すのに一番適役だったオレがここに来た」
「ど、どうして……!?」
混乱状態の私を尻目に、ナギは言葉を続ける。
「お前らと別れた後城に着いて、サマンオサの王様に手紙は渡せたんだけどさ、祠の牢獄について尋ねたら、問答無用で牢屋に連れてかれちまったんだ。反論する暇もなくだぜ。あ、ちなみにあいつら牢屋に入れられてるだけで無事だから心配するな」
「心配するなって言われても……」
するとナギは、ちらりとルークを一瞥すると、私の耳元に顔を近づけた。
「なるべく一般人は巻き込みたくねえ。ミオ、お前に頼みがある。ちょい耳貸せ」
「?」
言われるがままにナギの方に耳を傾ける。訝しげに私たちを眺めているルークだったが、何かを察したのか突然ナギの肩を叩いた。
「だったら玄関の中で聞こう。外で話す内容じゃなさそうだし」
「そうか、悪いな」
「それと、一応僕もこの国の住人だ。この国で起こったことだとしたら、見過ごすことはできない。僕にも教えてくれないか?」
その言葉にナギは逡巡していたが、やがて納得したようにうなずいた。
「わかった。この国の人間の意見も聞きたいからな」
ルークに促され、私とナギは一先ず中に入って玄関先で話をすることにした。リビングにはコゼットさんもいるので、なるべく聞こえないように小声でナギは話し始めた。
「……実はこの国の王様は偽物らしい」
「にっ……!?」
あまりにも唐突な話に驚くが、さすがに声に出しては行けないと、自ら口をおさえる。
「えーと、何の根拠があってそんなことを?」
冷静にナギに問うルークに、ナギは淡々と話を続ける。
「捕まってるとき、他にも牢に入っている人がいないかを調べてたら、顔がそっくりの王様がいたんだ」
「それって、王様が二人いるってこと?」
つまり、一人は玉座に座っていて、もう一人は牢屋にいるってことだよね。一体どういうこと?
「そう。もう何年も前から偽物が入れ替わって、この国を乗っ取っているらしい。んで、その牢屋にいる自称本物の王様から話を聞いたんだけど、どうやらこの町から東にあるっていう、王家が管理する洞窟に、真実の姿を映すことの出来る鏡があるそうだ」
「鏡?」
私が小声で反芻すると、ナギはそうだと言うように頷いた。
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