第3部
サマンオサ
深夜の来訪者
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も反射的に頷いた。
「……わ、わかったわ。ありがとうルーク。ごめんなさいね、ミオさん」
すまなそうに言うと、コゼットさんは少しずつ食べ始めた。
「ごめんミオ。食事中なのに気を悪くさせたみたいで」
「ううん。私の方こそ、急に押し掛けてごめん」
「いいんだよ、僕が君を家に誘ったんだから。そもそも今の君を一人にさせたらどうなるかわからないからね」
「それってどういう意味?」
「言葉通りだよ。もしかしたら城に忍び込んで探しにいくかもしれないだろ?」
「うっ!?」
確かにその考えに至る可能性は十分にある。
「君には危ない目に遭って欲しくない。だからここに泊まるよう誘ったんだ。それは僕の都合だから、君が謝る必要はないんだよ」
「ルーク……」
彼の気遣いはすごく嬉しいけど、そんなに心配されるほど頼りないのかな、私って。
「それより料理が冷めるから、早く食べなよ」
そうは言うものの、さすがに私だけ食べるのは気がひけるので、半分にちぎったパンをルークに渡した。ルークはビックリした表情になったが、すぐに笑みを浮かべてそれを受けとった。
「ありがとう。そういえば、カザーブで君の家に遊びに行ったときもこんな風にケーキを半分こして食べてたね」
そうだ。あれは確かルークと仲良くなり始めたばかりの頃、私の家に彼を呼んだことがあった。初めて同年代の子の友達が来るってことで、お母さんが張り切ってケーキを焼いてくれたんだけど、思いの外大きくて、結局ルークときょうだい全員で分け合って食べたんだった。
「あはは、そうだね。ルークもそれ、覚えてたんだ」
「忘れるわけないよ。あのとき初めてミオの家に遊びに行ったんだから」
ルークも同じことを思ってたなんて。自分の思い出を共有できる人がいて、こっちも嬉しくなる。
結局私はルークと二人でパンとスープを分けあいながら食事をした。コゼットさんも最初は遠慮がちにしていたが、最後にはパンとスープの皿が空になっていた。
コン、コン。
そのとき、外から控えめに玄関の扉を叩く音が聞こえてきた。
「ねえ、ルーク。今の……」
「わかってる。今開けるよ」
「? どうしたの?」
私とルークは気づいたが、コゼットさんは聴こえてなかったようだ。ユウリたちかもしれないと思い、私とルークが席を立ち、玄関へと向かう。
二重にしておいた内鍵を開け、ゆっくりと扉を開く。暗闇の中照らし出されたその姿は、私がずっと待ち続けていた人物だった。
「ナギ!!」
そう、その人物とはナギだった。この一日で、随分とやつれたように見える。
「一体どこに行ってたの!? すごく心配したんだからね!!」
「ちょっ、声が大きいっつーの!!」
怒りながら彼に詰め寄ると、ナギは自分の口に指を当てて制した。
「オレがここにいるって誰
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