暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十七話 国境会戦(中)
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
啜りながら、そう言って笑っている。爆発させると言っても機雷はまだ相当な数が存在する筈だ、それを一斉に爆発させる…お前だって充分に意地悪だぞヤン…ミューゼル艦隊はそりゃあ驚くだろう、何しろ何百万発もの盛大な花火なのだから…。


9月30日20:00
自由惑星同盟軍、第九艦隊旗艦グラディウス、
パオラ・カヴァッリ

 「八時方向、爆発光を確認、とんでもない光量と熱量です!」
オペレータの報告と共に、正面スクリーンが八時方向の映像に切り替わった。入光量は調整してあるみたいだけど、とんでもない明るさの爆発光が広範囲に広がってる。爆発光が明るすぎて、小惑星帯がはっきりと確認出来る、でも綺麗…こんな事思い付くのは…ウチの司令官かしらね。
「ヤン提督は私の考えを理解してくれたみたいですね…参謀長、全艦反転。反転後、艦隊速度全速。ヤン提督と合流します」
「了解しました……全艦反転、反転後、艦隊速度全速で第十三艦隊と合流する!急げ!」
これが狙いだったのね…饒回運動と見せかけて、第十三艦隊を後退させる…ワイドボーン参謀長の号令と共に急いでケータリングが片付けられていく。ローザス大尉だけじゃ大変ね。
「手伝うわよ」
「あ、ありがとうございます」
「飽きないわね、あの人の下だと」
「ウィンチェスター提督の指揮下…という事ですか?」
「そう。戦闘中に機雷原を爆破するなんて思い付かないでしょ、普通」
「提督のお考えだと仰るのですか?」
「ヤン提督は私の考えを理解してくれた、って今言ってたじゃない。何百万個もの機雷が爆発する光景、想像出来る?此処からでも爆発光が見えるくらいなのよ?」
「ちょっと…想像出来ません」
「でしょう?今頃ミューゼル艦隊はパニックなんじゃないかしら」


9月30日20:30
銀河帝国軍、ミューゼル艦隊旗艦ブリュンヒルト、
ラインハルト・フォン・ミューゼル

 「状況を報告せよ!」
敵の第九艦隊の饒回運動に対処する為に、艦隊を後退させようとした矢先だった。とてつもない光、振動だった。スクリーンが光に満たされたかと思うと、艦体がひどく揺さぶられた。茫然自失、というのはこの事であろうかと思わんばかりの出来事だった。
「周囲の機雷が一斉に爆発した様です…一時的なものと思われますがセンサー類に異常警報がでています、その他は異常ありません」
冷静に報告をあげたのは艦長のシュタインメッツだった。この艦ですらそうなのであれば他の艦は…艦橋内は未だ混乱から脱していない、オペレータ達が混乱している…。
「うろたえるな!敵の虚仮威しに過ぎぬ。被弾した訳ではないのだぞ!…司令官閣下、醜態をお見せしてしまい申し訳ありません」
「よろしい、艦長…参謀長、全艦に命令、後退を続行せよ。異常のある艦は各司令部に状況を報告せよ」

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ