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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十七話 国境会戦(中)
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な?」
「その様です」
「一泡吹かせたいが、我々の兵力ではな…。引き続き現状維持だ。警戒を怠るなよ」
「はっ」


9月30日18:05
自由惑星同盟軍、第九艦隊旗艦グラディウス、
スーン・スールズカリッター

 敵のミューゼル中将の心理状態か…。
「えらく感心しているな、スールズカリッター…俺もスールって呼んでいいか?」
「あのなフォーク、人の名前を略すのは止めてくれよ」
「閣下には構わないって言ってたじゃないか」
「閣下だからだ!」
「あだ名みたいでいいと思うがなあ…しかし、この饒回運動だが成功するかな?」
「…何故そう思う?」
「艦隊の速度だよ。これじゃ後ろを取っても敵は待ち構えていると思うんだ。最悪の場合、メルカッツ艦隊は前進してミューゼル艦隊と合流するぞ」
「そうだな…ふと思ったんだが、何故メルカッツ艦隊は後方にいるんだ?最初からミューゼル艦隊と共に十三艦隊を攻撃していれば、俺達が来る前に有利な態勢になったんじゃないか?」
「それは…分からん」
「お前なあ…参謀だろ?」
「お前だってそうじゃないか。感心してばかりいないで少しは考えろよ」
悔しいがフォークの言う通りだ。そう思ってふと閣下を見ると、座りっぱなしで腰でも痛いのか、指揮官席を立ち上がって腰を回している…かと思うとワイドボーン参謀長と組んでストレッチし始めた。

 「痛てて…閣下、本当にミューゼル艦隊は後退する…と思いますか」
「痛たたた…すると思うよ」
「何故…そう思われるのです?」
「後方のメルカッツ艦隊が参戦していないだろう?常識的に考えれば、まとまって動く筈だ。たとえヤン提督が小惑星帯に籠っているとしてもだ、合流した方が安心して戦える筈…それをやってないという事は、ミューゼル艦隊は独断で戦闘を始めた可能性が高い。此方が後方を遮断する動きを見せればいつまでも戦闘にかまけている訳にはいかないさ」
「という事は…二つの艦隊の連携はあまり良くないという事でしょうか?」
「それはないと思うね。ただ、ミューゼル艦隊は…当時はヒルデスハイム艦隊だったが、一昨年第十三艦隊に破れている。雪辱を果たしたい、そう思ったんじゃないかな」
「ミューゼル中将を追い込んだのは閣下ではないですか…ああ、そういう事か…まさしく心理戦ですな」



9月30日19:20
自由惑星同盟軍、第十三艦隊旗艦ヒューベリオン、
ジャン・ロベール・ラップ

 今のところはなんとか戦えているが、このままではそう長くは保たない…。第九艦隊からの増援が二千五百隻と解った時は耳を疑った。だが、ダクラス分艦隊から単座戦闘艇(スパルタニアン)で直接通信文を渡されたヤンは微笑しながら言ったものだ。
「成程。ウィンチェスター提督も人が悪いね」
シェイクリ中尉というパ
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