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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十七話 国境会戦(中)
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、と判断する可能性は非常に高い…そうスールに説明すると、何度も深く頷いている…。
「まあ、もう一つ仕掛けがあるんだけどね」
仕方ない、緑茶は自分で用意するか…。


9月30日17:15
フォルゲン星系中心部、銀河帝国軍、メルカッツ艦隊旗艦ネルトリンゲン、
ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ

 敵の増援は第九艦隊と判明、饒回運動により我または貴艦隊の後方を扼す恐れあり…。
「どう思う、参謀長」
「確かに可能性はあります。ミューゼル艦隊が早目に動いたのが裏目に出ましたな」
ファーレンハイト参謀長の言葉は、聞く人が聞けばミューゼル中将への批判とも取れるものだった。
「ミューゼル中将の気持ちも分からんではないがな」
このフォルゲン星系にはミューゼル艦隊と私の艦隊…二個艦隊が配置されている。おそらくは敵増援の誘引を求められての事だとは理解出来るが…。
「参謀長はミューゼル提督に会った事があるかね?」
「いえ、軍務省(ほんしょう)で何度かお見かけした事がある程度です」
「あれは覇気の強い男だ。敵増援が到着する前にこの宙域の戦況を有利に展開しようと考えたのだろう」
「それは理解出来ますが、我が艦隊には増援に対処しろという要請はいささか…平たく言えば邪魔をするな、という事ではありませんか。ミュッケンベルガー司令長官は閣下に何も仰らなかったのですか」
「…その辺でやめておけ、参謀長。私は優秀な参謀長を舌禍問題で失いたくはないのでね」
「は、はい…申し訳ありません」
ファーレンハイトの言う事は尤もだが、ミューゼルと方針を話し合わなかった私にも責任はある。主戦場ではない宙域を任される…信頼されていると考えるべきか、厄介払いと考えるべきか、その点だけでも話し合うべきではなかったか…。
「参謀長、第七軌道に向けて前進だ。ミューゼル艦隊の後方に向かう。そうすれば敵の第九艦隊の目的もはっきりするだろう」
「はっ」


9月30日18:00
フォルゲン星系第七軌道近傍、銀河帝国軍、ワーレン分艦隊旗艦ブラウエン、
アウグスト・ザムエル・ワーレン

 叛乱軍十三艦隊に増援が現れてしまったか…側面攻撃の機を逸してしまった、今は迂闊に動けない。動けば迂回して進んでいる叛乱軍第九艦隊に此方の位置を暴露する事になる…。
「司令、妙ではありませんか」
「何がだ?ライブル参謀長、言ってみろ」
「敵の第九艦隊ですが、艦隊の移動速度が遅いと思うのですが…概略図を見る限りは本隊またはメルカッツ提督の後方を扼す動きに見えますが…あの速度では」
…確かに、饒回運動にしてはゆっくりと移動している。あれでは後ろに出たとしてもメルカッツ艦隊は充分対処出来るだろう。何を考えているんだ、敵は…。
「第九艦隊の指揮官はあのウィンチェスターだった
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