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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十七話 国境会戦(中)
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か?」
「大丈夫だ、ラップ参謀長。彼等は戦場に着いたばかりだ、我々を鼓舞するつもりだろう」
ダグラス准将は一昨年のヒルデスハイム艦隊との戦いでも見事な働きだった。これで一息つけるな…。
「参謀長、フィッシャー提督に連絡、我々の後方についたならそのまま右翼に向かって、アッテンボローと合流して敵の右翼を叩いてくれと伝えてくれ」
「了解しました!」



9月30日16:15
自由惑星同盟軍、第九艦隊旗艦グラディウス、
ヤマト・ウィンチェスター

 「マイクは無事合流したみたいだね」
「ダグラス分艦隊だけで大丈夫でしょうか、もう少し援軍を送った方がよかったのでは…」
「大丈夫だ、ヤン提督もマイクも敗けはしないよ。それに本隊が少なくなってしまうと敵に迷いがなくなるからね」
敵は…ラインハルトはウチの艦隊の行動を饒回進撃だと思う筈だ。自分達の後方に出ると考えるか、もう一つの艦隊、通信傍受で判明したメルカッツ艦隊の後方に出ると思うか…。
「なるほど、本隊が少なければメルカッツ艦隊独力で対処出来る、と思いますな」
「うん。同様に少ない本隊でミューゼル艦隊の後方に回ってもメルカッツ艦隊と挟み撃ちにすればいい、と考えるだろう。我々は二千五百隻を第十三艦隊に派出しても、本隊は一万二千五百隻だ。敵にとっては少なくない数字だ。我々がメルカッツ艦隊を突くと考えれば、ミューゼル艦隊はメルカッツ艦隊を放っておく事は出来ない。後退してメルカッツ艦隊と合流を果たそうとするだろう」

 ミリアムちゃんが食堂から軽食のケータリングを運んで来た。紅茶ポット、コーヒーポット、サンドイッチ各種……あれ、緑茶がない……。
いただきますと最初にパクついたフォークがスールズカリッターにひっぱたかれている。大体こういう時は上官が先に食べ始めるもんだけど、いい意味で緊張はしていない様だ。
「閣下、質問なのですが、よろしいでしょうか」
「スールズカリッター中佐、何かな?…というか、スールって呼んでいいか?」
「あ、構いませんが…閣下がそう推測されるのには、何か根拠がお有りなのですか?」
「根拠ねぇ…勘、かな」
「勘…ですか」
「うん。まあ、勘というかミューゼル中将の心理状態だよ」

 ラインハルト本人は極めて優秀な戦術家だ。戦闘に関しては果断速攻、逡巡を嫌う。そして強敵、良敵を求める傾向が強い。まあ自信満々だからなのだが…だから敵の動きに対しても能動的に考えがちなのだ。それに一昨年ラインハルトは俺にしてやられている。しかも今戦っているのは、ラインハルトが元々興味のあったヤンさんだ。俺とヤンさんの組み合わせ…今頃は此方が俺の率いる艦隊というのはバレている頃だろう、眼前のヤンさんはしぶとい、俺は何考えてるか分からない…このまま戦闘を続けていたら、またしてやられる
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