第百三十話 寮生の弁当その十
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「ヤクザ屋さんはね」
「アウトね」
「不良や暴走族は更正しても」
「ヤクザ屋さんはね」
「もうね」
それこそというのだ。
「更正しなかったから」
「なったのよね」
「だからね」
「もう、よね」
「ヤクザ屋さんになったら」
「終わりね」
「ええ、ただね」
ここで理虹はこうも言った。
「なってもね」
「それでもなのね」
「足を洗って」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「普通のお仕事に戻ったら」
「それで殺人とかしてなかったら」
「よしね」
「ええ、ヤクザ屋さんになっても」
決定的に道を踏み外してもというのだ。
「それでもね」
「戻れることはね」
「覚えておかないとね」
「そうね、そういえばね」
鹿児島の娘は理虹に話した。
「一つ思うけれど」
「どうしたの?」
「いや、ヤクザ屋さんよりもね」
今話している彼等よりもとだ、鹿児島の娘は考える顔になって隣を一緒に歩いている理虹に対して話した。
「半グレの方がね」
「悪いとか?」
「そうじゃない?何かね」
理虹にさらに話した。
「ああした人達ってね」
「ヤクザ屋さんよりもなの」
「悪いことしてる様な」
「そういえば」
理虹も言われて頷いた。
「確かにね」
「あんたもそう思うでしょ」
「ヤクザ屋さんは悪い人達でもね」
このことは事実だがというのだ。
「決まりというか掟がね」
「あるでしょ」
「ええ、あの世界なりのね」
「極道とか任侠とかいうね」
「法律は無視しても」
それでもというのだ。
「あの世界独特のね」
「決まりがあるでしょ」
「それでそれに逆らったら」
その時はというと。
「容赦なくね」
「血を見るわね」
「血を見るの」
「あれっ、そうでしょ」
「いや、南港でしょ」
理虹は鹿児島の娘に真顔で言った。
「ここは」
「大阪の」
「ええ、ああした世界ではね」
「もうそれね」
「何かあったらね」
そこには掟を破った場合も含まれるのだ。
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