暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
再洗脳
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 イグナイトは限界を迎え、響のシンフォギアは元の黄色と白のガングニールに戻る。

「響、大丈夫か?」
「はあ、はあ……うん……」

 彼女に肩を貸しながら、ビーストは戦況を見渡す。
 ビルの屋上へ突き落とされたパピヨンも、車のボンネットへ吹き飛ばしたフロストノヴァも、もう復帰している。それぞれ蝶と冷気を全身に纏い、臨戦態勢を整えている。

「響……お前、ヘイト管理とかぜってえ考えてねえよな」

 ビーストは響の疲弊具合を見ながら、少しずつ後ずさる。
 響とは逆に、まだビーストには体力が残っている。だが、一度響がこの場を制した以上、フロストノヴァとパピヨンが響へ狙いを定めた場合、ビースト一人で響を守り切れるだろうか。

「いや、無理だろ……」

 ダイスサーベルを構えなおしたビーストは、頭の中で戦略的撤退手段を……氷と蝶を操る強敵二名から離れる手段を考え始める。
 だが。

「やってくれるじゃない、ランサー」

 アウラの声が、一時ビーストの思考を静止させる。
 すでに全ての下僕を失い、圧倒的不利になったアウラ。
 ビルに背中を貼り付けながら、アウラは天秤を向けた。

「あなたっ、もう動けないのね……!」

 全身を震えさせながらも、アウラはその口から笑みを零した。

「あはっ……! あはははっ! まだ倒せもしないのに、全力だなんてとんだおバカさんじゃない!」

 彼女の手には、すでに回収された天秤が握られている。彼女がそれを振る動きを見て、ビーストは事態の危険性を察した。

「ヤバイ、奴の狙いは……っ!」
服従させる魔法(アゼリューゼ)
「っ!」

 ビーストは響へ貸す肩を外し、響の盾になるように両手を広げた。
 だが、いつまでたってもビーストの体の自由は奪われない。
 ビーストは仮面の下で瞑った目を開き、自らの体を見下ろす。

「あれ……? なんともない?」
「あなた……魔力量は私に遠く及ばないのに、私の魔力が利かないの……?」
「どういう……ことだ?」

 ビーストのみならず、アウラもまた目を白黒させている。
 だが。

「……まあいいじゃない。どっちにしろ、目的は果たしているのだから」
「目的……っ!」
「コウスケさんッ!」

 ビーストは、その背後に不気味に動く気配を感じ、その場から飛び退く。
 響の声とともに、彼女のかかと落としが、ビーストがいた足元を砕く。

「響……」
「体が勝手に……ッ!」

 響が訴える。
 今度の洗脳は、響が振り切ることなどできない。あっさりと体の支配権を奪われ、響はビーストたちへ無理矢理牙を向けさせられた。

「今は急ぎだし、首を落とすのは後にした方がよさそうじゃない。……さあ行きなさいランサー」
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ