再洗脳
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イグナイトは限界を迎え、響のシンフォギアは元の黄色と白のガングニールに戻る。
「響、大丈夫か?」
「はあ、はあ……うん……」
彼女に肩を貸しながら、ビーストは戦況を見渡す。
ビルの屋上へ突き落とされたパピヨンも、車のボンネットへ吹き飛ばしたフロストノヴァも、もう復帰している。それぞれ蝶と冷気を全身に纏い、臨戦態勢を整えている。
「響……お前、ヘイト管理とかぜってえ考えてねえよな」
ビーストは響の疲弊具合を見ながら、少しずつ後ずさる。
響とは逆に、まだビーストには体力が残っている。だが、一度響がこの場を制した以上、フロストノヴァとパピヨンが響へ狙いを定めた場合、ビースト一人で響を守り切れるだろうか。
「いや、無理だろ……」
ダイスサーベルを構えなおしたビーストは、頭の中で戦略的撤退手段を……氷と蝶を操る強敵二名から離れる手段を考え始める。
だが。
「やってくれるじゃない、ランサー」
アウラの声が、一時ビーストの思考を静止させる。
すでに全ての下僕を失い、圧倒的不利になったアウラ。
ビルに背中を貼り付けながら、アウラは天秤を向けた。
「あなたっ、もう動けないのね……!」
全身を震えさせながらも、アウラはその口から笑みを零した。
「あはっ……! あはははっ! まだ倒せもしないのに、全力だなんてとんだおバカさんじゃない!」
彼女の手には、すでに回収された天秤が握られている。彼女がそれを振る動きを見て、ビーストは事態の危険性を察した。
「ヤバイ、奴の狙いは……っ!」
「服従させる魔法」
「っ!」
ビーストは響へ貸す肩を外し、響の盾になるように両手を広げた。
だが、いつまでたってもビーストの体の自由は奪われない。
ビーストは仮面の下で瞑った目を開き、自らの体を見下ろす。
「あれ……? なんともない?」
「あなた……魔力量は私に遠く及ばないのに、私の魔力が利かないの……?」
「どういう……ことだ?」
ビーストのみならず、アウラもまた目を白黒させている。
だが。
「……まあいいじゃない。どっちにしろ、目的は果たしているのだから」
「目的……っ!」
「コウスケさんッ!」
ビーストは、その背後に不気味に動く気配を感じ、その場から飛び退く。
響の声とともに、彼女のかかと落としが、ビーストがいた足元を砕く。
「響……」
「体が勝手に……ッ!」
響が訴える。
今度の洗脳は、響が振り切ることなどできない。あっさりと体の支配権を奪われ、響はビーストたちへ無理矢理牙を向けさせられた。
「今は急ぎだし、首を落とすのは後にした方がよさそうじゃない。……さあ行きなさいランサー」
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