第9話:「お前はイーブイか!?」
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ティヒが警戒を解くと、ヒトカゲが漸く目を覚ました。
「大丈夫。もう誰もイジメないよ」
グートミューティヒの言葉を聞いたヒトカゲは、笑顔を見せたのち、どこかへ走り去った。
「あのヒトカゲ、もう大丈夫そうだ」
グートミューティヒの嬉しそうな笑顔を見て、アムはますます混乱した。
「ちょっとそこの糞女……じゃなかった糞男。アンタ……誰の敵なのよ?」
それに対し、グートミューティヒはあっけらかんと答えた。
「ん?悪い人の敵だけど。それが何か?」
「えーとぉ……つまり、アンタの敵は誰なの?」
「だから、悪い人だって。仲間を傷つけたり、何もしていない人を苦しめたり、自分勝手が過ぎる人。僕はそう言う人が許せないんだ」
アムは、とてつもない強敵に見えたグートミューティヒの唯一の弱点を見つけた気がした。
グートミューティヒは……一見ワガママに見える程優し過ぎるのだ。
だから、被害者が誰であろうと相手に非があると黙っていられないのだ。
「それが……貴女がこの前言っていた『種類違いは戦う理由にならない』なの?」
グートミューティヒは少し考え、自分の意見を脳内でまとめてから言葉を紡いだ。
「……そうだね。種類や分類が違うだけで戦っていたら終わりが無いからね」
「終わらない戦い?」
「そう。絶対に全く同じ個性なんてこの世には無いと思ってる。だから思うんだ。いちいち人種違いを理由に戦っていたら、何時まで経っても戦いは終わらないし時間の無駄だと」
アムが呆れながらそっぽを向いた。
「そりゃまあ確かに、さっき逃げた奴、私達モンスター相手に無駄な抵抗をした人間の中で最も見苦しかったしね」
「あれは、ちゃんとした大義名分が無いからそう見えるんだよ。そして、そう言う大義名分が無い邪悪な戦いを毛嫌いし拒絶する行為は、良心の常套習性だよ」
その途端、アムは赤面した。
「りりりり良心ですってぇー!?私は魔王軍所属のモンスター!そんな私が何で下等な人間の感情に同意しなきゃいけないのよ!?」
その途端、グートミューティヒが凄ぉーく嫌な笑顔でニヤニヤしながら語る。
「照れんなや!ツンデレか!」
「おーし、殺す!新しく手に入れた力で、今度こそお前を殺す!」
そして、じゃれ合いの様な戦いをした2人は、暢気に大の字で寝っ転がっていた。
「本当に訳が解らないわ……アンタ、本当に何者?」
「ただの新米ポケモントレーナーだよ。ちょっとお人好しなね」
アムは起き上がりながら頭を掻いた。
「やっぱ白けたわ。今日の所はこのぐらいにしてあげるけど、次は無いと思いなさい!アムよ!それがアンタを殺すモンスターの名よ!」
そう言うと、空中を泳ぐ様に逃げ去るアム。
「アム……ね。そう言うところがツンデレなんだけどねぇ……」
そんな事より、パワーアップしたアムに完敗して
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