第4話 マジンガーZ危機一髪
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い。例え目の前に銃を持った者が立っていても我々は恐れず前に進むのさ。何せ、一度死んでいるからねぇ」
そう言いながらズカズカと前に進んでくる鉄化面。
甲児の剣を持つ手が震えだした。
甲児とて普通の学生だ。こうして武器を持つ機会など今まで一度だってなかった。それが今この場で武器を手にしたからと言ってそれを使えるかと言われたら使える筈がない。
目の前に迫る異形の恐怖で心臓の鼓動が早鳴りしだす。怖い、こいつからは恐怖しか感じられない。そいつが真っ直ぐにこっちに迫ってくる。
異形は笑っていた。不気味に笑っていたのだ。
「く、来るな! き、来たら……こ、これでぶっ刺すぞ!」
「どうぞ、刺すが良い。君に人殺しが出来るのならね? 私の喉を思い切り刺してご覧。君達の中に通ってるのと同じ赤い血が流れ出すよ。そうすれば私は死んで動かなくなる。だが、君に人殺しが出来ればの話だがねぇ、ヒッヒッヒッ」
不気味な笑い声をあげながら鉄仮面が近づいてくる。
徐々にその距離が縮まってきた。
殺す? 殺すしかないのか?
甲児の奮えが更に増した。出来る筈がない。俺は学生だ! 人殺しじゃないんだ!
だが、目の前に居る奴は果たして人と呼べるのだろうか?
改造され、考える事を止めた奴を果たして人間と呼べるのだろうか?
呼べない、あいつは只の化け物だ。化け物なのだから殺さなければならない。しかし甲児には出来なかった。例え化け物だとしても奴を殺せば自分も人殺しの仲間入りを果たしてしまうからだ。
「兄貴! そんな気持ち悪い奴ぶっ殺しちまえよぉ!」
「シロー…」
「遅い!」
甲児の中にあった一瞬の躊躇いを感じ取った鉄仮面が甲児を殴り倒す。
完全に不意を突かれた形で甲児は居間に倒れこむ。
そんな甲児に鉄仮面が飛び掛ってきた。
「ハレー! お兄様〜!」
「甲児さん!」
二人が叫ぶ。その時だった。
鉄仮面の背中に赤く汚れた両刃の剣が突き抜けてきたのだ。見れば甲児が鉄仮面の胸板を持っていた剣で刺し貫いていた。
其処から赤い血が止め処なく流れ出てくる。
「ガフッ!」
更に口から夥しい量の血を吐き出し、それは息絶えた。
「イヤッホー! 流石兄貴だぜ。カッチョイィ!」
シローは飛び上がって喜んでいるが、なのはは喜べなかった。
寧ろ青ざめていた。体中が恐怖で震えている。
無理もない。目の前で人が死んだのだ。嫌、正確にはその者は既に死んでいた。
だが、先ほどまではそれでも動いて息をして言葉を発していたのだ。
その者も、今では何も言わず其処に倒れている。大きく目を開いたまま絶命していたのだ。その顔が余りにもなのはには恐怖を感じさせる要因となっていた。
それは、甲児もまた同じ
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