第1話 不思議な出会い
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輝く一つの結晶石であった。
月夜に照らされて尚一層蒼い光を発する結晶石。
しかし、その直後、周囲に散らばった人ならざる者の体が青い結晶石を覆い尽くすように纏っていき、再び人ならざる者となった。
「だ、駄目だ…僕じゃ、これを扱いきれない」
傷ついた肩口を抑えて荒い息を立てながら少年は悔しそうに呟いた。
それでも再び赤い玉を使おうと手を翳したその時、人ならざる者が動いた。
突如自分の体を細かく分裂させて弾丸の如く少年に向けてぶつけてきたのだ。少年は必死にそれを避ける。
その度に岸辺には巨大な穴が開き、止まっていたボートは貫通され、建物は破壊されていった。
少年は木々の方へ向かい駆け出す。
そんな少年を追いかけて先ほどの弾丸が一つに纏まり先ほどの姿となって追いかける。
どれくらいか走った辺りで少年は再び赤い玉を翳した。
そして、先ほどのと同じように呟きまた光を発する。だが、今度はその光で人ならざる者は分裂せず、そのまま突っ込んできた。
少年は跳ね飛ばされた。幼いその体が風に舞い上がった木の葉の如く宙を舞い、やがて地面に激突した。
倒れて動かなくなった少年を見て人ならざる者は満足したのかその場を去っていく。
その光景を少年は薄れ行く意識の中見ていた。
「に、逃げられた…お、追いかけ…ないと」
それを最後に少年の意識は途絶えた。少年の体を淡い光が包み込み、やがてその姿を変えていく。
光が晴れた時、其処に居たのは一匹の小動物であった。
姿からしてフェレットだと思われる。
そのフェレットのすぐ横には例の赤い玉が落ちていた。
【誰か…誰か、助けて下さい…誰か、僕の声を…】
動けない体のまま少年は声にならない叫びを発する。
しかし、その声に応える者など居らず、無数の木々が唯風に揺らめくだけであった。
***
朝日が差し込む中、高町なのはは鳴り響く携帯の音に目覚める。
おぼつかない手の動きで携帯を掴みスイッチを切る。
掛け布団を押しのけて体を起こし両手を天井に向けて突き上げる。
「何か、変な夢…見たなぁ」
ふと、誰も居ない部屋でそう呟く。
どうやら余程変な夢でも見たのだろう。
どんな内容かは残念ながらプライベートなので読者一同には分からないのだが。
少なくとも良い夢でない事は彼女のその発言から分かると思われる。
「…起きよう」
幾ら考えても答えなど出る筈もない。とりあえず起きる事にした。
ベットから身を乗り出し、洗面所で顔を洗い、寝巻きを洗濯籠に入れて制服を着る。
鏡の前でニッコリ笑顔を作り準備を終え、なのはは家族の待つ居間へ向かった。
「おはよう」
部屋に入るなりなのはがそう言う。
部屋には今、父の
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