第十八話 最初の決戦その三
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「だからだ」
「会わないのか」
「息子は私が死んだと思っている」
ドクターマンはこうも言った。
「それではな」
「行くことはしないか」
「この話も聞いたことでだ」
「そのメデは見ていないか」
「見に行ったこともない、その時若し見付かれば」
息子と彼の家族にというのだ。
「後ろめたい」
「捨てたからか」
「そして忘れていたのだ」
ドクターマンは悔恨に満ちた顔で述べた。
「その様な私がだ」
「ご家族に会うことはか」
「出来る筈がない」
「そう言うのか」
「駄目だろうか」
「それも人の心だ」
ゴセイナイトはドクターマンにこう答えた。
「だからだ」
「悪いとは思わないか」
「貴殿が人間であることをあらためて確認出来た」
今のやり取りでというのだ、ゴセイナイトはドクターマンを見ながら彼を肯定するかの様にさらに言った。
「その心がな」
「そう言ってくれるか」
「そう思ったからな」
だからだというのだ。
「言わせてもらう」
「そうか」
「そしてだ」
ゴセイナイトはさらに話した。
「貴殿はこの店をか」
「これからもやっていきたい」
「そうして生きていたいか」
「この生活が気に入っているしだ」
沖縄でのそれがというのだ。
「それに店員達もな」
「雇っている彼等もか」
「真面目によく働いてくれていてだ」
そうしてというのだ。
「私を慕ってくれている、色々なお客さんと会うことも楽しい」
「中には嫌な人もいません?」
ゴセイジャーと一緒にいる望が聞いて来た。
「中には」
「いるがそれもまただ」
ドクターマンは望にも答えた。
「楽しいのだ」
「嫌な人がお客さんでも」
「人との出会いは誰とでもだ」
「楽しいんですね」
「そうなった」
真剣な顔で答えた、表情は変わらない。
「私はな」
「そうですか」
「だからこのままだ」
「このお店で、ですか」
「暮らしていきたい、私の後はこの店を経営したい者にだ」
「その人にですか」
「継いでもらう、もうその人もいる」
店を受け継いでもらっている者もというのだ。
「だからだ」
「心配はいらないのですね」
「これからのこともな」
望と共にいる彼の父の天知にも答えた。
「もうな」
「それは何よりですね」
「後はこのままだ」
「こちらで、ですか」
「生きるだけだ、私はだ」
まさにというのだ。
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