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冥王来訪
第三部 1979年
迷走する西ドイツ
忌まわしき老チェーカー その4
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るであろう。
マサキは同時代人として、ゲーレンの姿勢に同情の色を示した。
「君はビルダーバーク会議と戦わねばならない宿命を背負っているのだよ」
「よかろう」



 西ドイツの諜報機関の全てを知る男、ラインハルト・ゲーレン。
なぜ彼が、東ドイツ人のベルンハルト兄妹と懇意な木原マサキに近づいたか。
 まずマサキがKGBとの対決姿勢を公然と見せる人物だからである。
ユーリー・アンドロポフKGB長官に決闘を挑み、一撃のもとに葬り去った事ばかりではない。
PLFPや日本赤軍などの過激派を向こうに回して、その根城であるレバノンを焼き払った。
この事をゲーレンは高く評価していた。

 なぜ、西ドイツの捜査機関が友好国である日本人のマサキをマークしたのか。
それは当時の国際情勢と切っても切り離せない理由があったからだ。
 1970年代以降、西ドイツ国内ではドイツ赤軍(RFA)と称する過激派のテロ事件が続発した。
この団体は、KGBから資金援助を受け、シュタージの支援の下、西ドイツ国内での犯罪を繰り返した。
 有名なのは、ドイツ工業連盟会長シュライヤー暗殺事件であろう。
ドイツ赤軍はシュライヤー会長を誘拐し、身代金を要求したがBNDは応じなかった。
 ドイツ赤軍は、パレスチナ解放人民戦線(PLFP)とともにルフトハンザ航空ハイジャック事件を起こすも、失敗した。
その報道を受け、首領ら数名はその日のうちに不審死を遂げた。
 犯人グループはハイジャック事件の失敗と同時にフランスへ逃亡。
ミュルーズ郊外で、シュライヤーを暗殺し、その遺体をアウディの乗用車に捨てて逃亡した。
 パレスチナ解放人民戦線(PLFP)は、KGBによって創設されたテロ機関である。
アラブ民族主義による社会主義国家の建設を目指して作られた極左暴力集団であった。
 PLFPの共同創設者であるワジ・ハダド。
彼はユーリー・アンドロポフKGB長官の信任が厚く、KGBは三度の武器貸与を実施していた。
 ハダドは、1960年代後半から1970年代末までの国際ハイジャック事件を敢行した人物。
PLFPのみならず、日本赤軍、ドイツ赤軍を使嗾(しそう)して、国際テロで世界を恐怖のどん底に押し入れた極悪人である。
 1970年代当時、日本国内でのテロ活動で国民の支持を失っていた極左暴力集団。
彼等は海外に逃亡し、遠いパレスチナやレバノンの地にいるPLFPを頼った。
その際、国際的なテロ集団である、日本赤軍を結成し、幾多の国際テロを敢行した。
 改めて、1970年代に日本赤軍とPLFPが合同で行った国際テロに関して、説明を許されたい。
ドバイ日航機ハイジャック事件(1973年(昭和48年)7月20日)
ロイヤルダッチシェル石油精製施設爆破事件及び船舶シー
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