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冥王来訪
第三部 1979年
迷走する西ドイツ
忌まわしき老チェーカー その4
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は、自身の背中に、焦りと悲嘆を感じ始めていた。
「ビルダーバーグ会議の本当の狙いは、何か知っているかね」
「BETA戦争を利用して、自分たちの利益を得る事か?」
「もっと悪い。BETAを利用して市場の一本化を狙っているのだよ。
BETA戦争を通じて地域共同体や国連など、世界的な統合を推し進めるのが、奴らの狙いだ。
国家という物が無くなれば、そこに依存する民族資本も亡くなる。
そうすれば、あとは国際金融資本と大企業の独壇場だ」
 灯台下暗し……
マサキは、怒ることよりも不安を感じた。 
「ここまでいえば、自明の理だ。木原博士」

 まさか……
マサキはある一つの結論に行きついた。
 ビルダーバーク会議や三極委員会、ローマクラブなどの世界の支配層の本当の狙いは人口削減。
石油資源の枯渇を恐れて、人口抑制政策を行うべしと働きかけようとしたところに降ってわいてきたBTEAという宇宙怪獣。
 支那の地に飛来したのを、これ幸いとばかりに悪用したのではないか。
ビルダーバーグ会議のメンバーの多くは白人で欧州の王族や企業家だ。
 アジア人やスキタイ人が多く死のうが、知ったことではない。
むしろ彼等にとっては、石油資源や天然ガスの利用分が増えるので好都合なのだ。
 連中の頭の中では、世界人口を5億人ほどにまで減らすまでは何もしないつもりだったのだろう。
その証拠に、ソ連で人口の3割が減った時も米国は具体的な支援策をしなかったからだ。
いや正確に言えば、戦術機関連の技術を渡して、独裁政権を維持させたというだけだ。
 全世界的(グローバル)企業や国際金融資本にとって、利益を得るためには競争のない社会こそ理想だ。
国によって利益が制限され、市場が限定されている共産国家こそ理想の場所だ。

 いくらゼオライマーで大暴れしたところでも、ビルダーバーク会議や三極委員会、ローマクラブなどの世界の支配層の会合で秘密の計画を立てられてしまったら対処の使用がない。
 マサキは己の立ててきた計画が、恐ろしく甘い見通しであったことを突き付けられるような感覚に陥った。

「わたしは、ドイツ軍人として50有余年、ワイマール共和国、第三帝国、連邦共和国に仕えてきた。
ドイツ民族が自立し、どの様な形で残りさえすれば、政体などどうでもいい。
敵の米軍に頼ったように、悪魔や鬼にでも頼るときは頼る。
だから木原博士、君を頼ったのはドイツ民族独立のためなのだ。
欧州共同体(EC)や国連などという有象無象の機関の事は、これっぽっちも信用しておらん」
 ゲーレンの告白は、マサキに違う意味での感動を与えた。
かつて大東亜戦争で敗れた日本は、社稷を守るために、偽りの裁判結果を受け入れ、偽物の憲法典を奉った。
 一軍人として、2度の敗戦は思うところがあ
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