第94話 上を目指して
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ア・オルの薬を取り出してフィーに飲ませた。
「フィー……」
「……ん、やっぱり薬は苦いね」
「フィー!」
目を覚ましたフィーを俺は思いきり抱き締めた。
「リィン、苦しい……こういうのは二人っきりの時にしてほしいな。べろちゅーもセットだともっと嬉しい」
「そんな軽口が言えるなら心配はいらないな。ただ町に戻ったら教会で見てもらうぞ、何か異常が残っていたら大変だからな」
「ん、了解」
俺はフィーの軽口に苦笑して安堵のため息を吐いた。
「フィー!無事か!?」
「ラウラ……うん、大丈夫だよ」
「そうか、良かった……そなたまでリィンのような無茶をしないでくれ。心臓に悪いじゃないか」
「ごめんね、咄嗟に体が動いちゃったの」
「まあ私もきっと同じことをしただろう、それでも心配は賭けさせないでくれ。そなたも私の大切な存在なのだから」
「ん、分かった」
ラウラはそう言うとフィーを抱き寄せて力強くハグをする、そんなラウラにフィーも嬉しそうに笑みを浮かべてラウラの背中に手を回して甘えていた。
俺みたいな無茶と言われてちょっと反論したくなったが、実際に二人にこんな風に心配をかけていたと実感したので何も言えなくなってしまう。
「リィン、どうしたの?わたし達をジッと見て……あっ、もしかして混ざりたい?」
「そう言う事なら後でホテルでいくらでも抱きしめてあげるぞ」
「うん、いっぱいぎゅ〜ってしてあげるね。なんならべろちゅーもしていいよ」
「どれだけしたいのだ、そなたは……ま、まあリィンが望むなら私もいくらでもするが……」
「ははっ……」
そんな事を考えていたらフィーとラウラになにか勘違いされてしまったようだ。誤魔化すのも面倒だったので取り合えず笑った。
「あー!あいつらいなくなってるじゃない!?」
すると背後からエステルの悲鳴が聞こえた、振り返ってみると窃盗犯たちの姿が無くなっていたんだ。
「どさくさに紛れて逃げたのか、直ぐに追いかけ……っ!?」
俺が奴らを追おうとすると空間にヒビが入って辺りの景色が歪みだした。
「これって……」
「多分先程の魔獣が特異点の支配者だったんだ、それを倒したから私達は外に出られるんじゃないか?」
エステルの察した雰囲気を感じ取ったラウラが代わりに説明をした。彼女の言う通り支配者を倒せば特異点から出られる、じゃあ俺達も時期に……
そして強い光が辺りを包み込んで気が付けば……
「……ここは翡翠の塔か?」
俺達は翡翠の塔の一階に戻ってきていたんだ。
「ボス!ここってあの塔の中じゃないですか!?」
「俺達戻ってこれたのか……」
「
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