第94話 上を目指して
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起こったようだ。
「まあ良いさ、お前らはどのみち犯罪者だ。ここで捕らえる」
「クソッ、お前なんかに捕まってたまるか!」
リーダーの男はそう言って部下と一緒に上に逃げていった。
「あっ逃げたわ!」
「追いかけるぞ!」
エステルは逃げたと叫び俺は奴らを追いかける。
「ぐうっ……やはり出口はないか」
「ここまでだ、大人しくしろ」
「うおっ!?もう来やがった!」
直に奴らに追いついた俺達は武器を構えて奴らに近寄っていく。
「ねえリィン、ここまで来る際に色々魔獣に襲われたけど支配してる奴はいなかったよね?ここまで上に来たのに何処にいるのかな?」
「いわれてみればそうだな。ここが頂上のはずだけど大きな石像しかないが……」
「まさかこいつらがその支配者なの?」
「それはあり得ないと思うが……」
フィーはここに来るまでに魔獣と戦ってきたが特異点を支配する魔獣はいなかったと話して俺も同意する。
頂上には女性に角と鋭い爪、蝙蝠のような羽根を付けた大きな石像が置かれているだけで魔獣の気配は感じない。エステルは窃盗犯のくずれ達が支配者なのかと言うがラウラの言う通りそれは無いだろう。
「観念して盗んだものを返しなさい!そして町の皆やティオ達に謝りなさい!」
「うるせぇ!ここまで来て捕まってたまるかよ!」
リーダーの男はエステルの怒りの声を怒鳴ってかき消して後ろに一歩下がった。
だがその時だった、石像が動いてリーダーの男に向かって腕を振り下ろしたのだ。
「へっ?」
「危ない!」
エステルがリーダーの男を突き飛ばして攻撃をスタッフで受け止めた。そして攻撃を弾き返すと足場が大きく揺れる。
そして俺達の乗っていた足場が直線状に伸びて石像に色がついていった。淡い青に染まった石像はまるで生きているかのように咆哮を上げて俺達に襲い掛かってきた。
「キョオオオオオッ!!」
「お前らは下に逃げていろ!」
「は、はいっ!」
俺は咄嗟にそう叫ぶと窃盗犯たちは螺旋階段の下に降りていった。逃げられる可能性があるが今はそんな事を言ってる場合じゃないからな、足手まといはよけておかないと集中できない。
「皆、来るわよ!」
エステルの叫びと同時に石像は腕を横に振るう、すると鋭い斬撃が輪になって横向きに飛んできた。
「わわっ!」
俺達はジャンプして回避するが後ろのあった大きな石柱がまるで大根を包丁で切ったかのようにスパッと切断されてしまった。
あんなものに当たったら簡単に体が切断されてしまうな。
「蒼裂斬!」
「緋空斬!」
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