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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第94話 上を目指して
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で同時にスタッフと大剣を振るい魔獣を吹き飛ばした。


 魔獣は悔しそうに俺達に手を伸ばしながら再び奈落の底に消えていった。


「えっと、もう戻ってこないわよね……?」
「多分大丈夫だと思う」


 警戒するエステルにフィーは大丈夫だと答える。辺りを見渡したが魔獣の気配はない、一応警戒はしてるが一息ついてもいいだろう。


「はぁはぁ……流石にこたえるな。ジンさんは大丈夫ですか?」
「俺はまだまだ平気だ」
「流石ですね……」


 消耗した俺に対してジンさんはケロッとした様子でそう答える。


 流石俺よりも長く生きて鍛錬を続けてきただけあってすさまじい体力の持ち主だな、俺も見習わないと。


「ふう、でもまだ先は長そうね」
「うん。ここからが本番かな?」
「だが先程よりは上が見えてきたぞ。私達ならいけるさ」


 一息つくエステルは上を見上げてそう呟くがフィーは更に険しそうな道のりを見て溜息を吐く。だがラウラは頂上が見えてきたと話して皆を励ました。


「……よし、休憩は終わりだ。皆、もうひと踏ん張りだ。行こう!」
『応ッ!』


 俺は気合を入れなおして皆に頑張ろうと喝を入れる。


 そこから先も様々な罠が俺達に牙をむいて襲い掛かってきた。


「これ、ガチで俺達を殺しに来てないか?」
「ん、望むところ。戦場の方がまだマシ、軽く切り抜ける」


 不安定な足場に振り子のように動く足場、鋭い棘の付いた丸太に乗ると崩れ出す足場……しまいには下から溶岩が湧き上がって俺達を焼き殺そうとするトラップもあって殺意が凄かった。


 フィーは気合を入れていたが俺としては人間を相手する方がまだマシだと思う。達人を相手にする場合は話が別になるけどな。


「んん……強い風でお腹が冷えちゃう」
「いやそんな格好してたらお腹冷えるのは当然だろう?」
「でもリィンがジッと見てたりするからへそ出ししたいし」
「そ、そんなことは無いぞ!?」
「お前さん達、この状況でよくそんな漫才が出来るな……」


 強風が吹き溢れる中一本の縄を必死で上っていく場所はきつかったな。こういう訓練は何度もしたけど炎や水、雷や土のアーツがあちこちから飛んで来るのがヤバかった。


 その状況でへそ出しについて話す俺とフィーにジンさんが呆れた様子でツッコんだ。


「な、なんなのこの足場!凄い勢いで跳ねあがっちゃうんだけど!?」
「ぐうっ、凄い重力だな!私の大剣の重さもあって凄く跳ねるぞ……!」
「本当に凄い跳ねてるな……」
「リィンのスケベ、お仕置き」
「あがっ!?」


 乗ると凄い勢いで跳ねあがる足場を乗り継いでいく場所は危なかったな、足場も動いてるから
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