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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第94話 上を目指して
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side:リィン


 翡翠の塔で窃盗犯たちを捕まえた俺達は急に現れた霧に飲み込まれて意識を失った。


「……うぅ、なんだかこの状況にも慣れてきたな」


 目を覚ました俺が辺りを見渡すと上に向かって長く広がる通路が確認できた。翡翠の塔よりも遥かに長く広い建物の中にいるのか?


「そうだ、皆は……フィー!!」


 俺は一緒にいたメンバーを探すとすぐ近くにフィーが倒れていたので駆け寄って体をゆする。


「んっ……リィン?」
「フィー、大丈夫か?」
「うん、体に特に異常はないかな」


 フィーは直ぐに目を覚まして立ち上がった。そして俺は他に倒れていたラウラ、エステル、ジンさんを見つけて彼らも介抱する。


「済まないリィン、迷惑をかけた……」
「気にするなよ、ラウラ」


 ラウラに手を差し伸べて彼女の体を起こす。


「それにしてもここは何処なの?翡翠の塔じゃないのは確かだろうけど……」
「大方また特異点とやらに巻き込まれたようだな」


 エステルは個々がどこなのか気にするがジンさんは特異点に巻き込まれたと話した。


「うひゃあ……下はなんにも見えないわねぇ」
「落ちたらひとたまりもないな」


 エステルは俺達が今いる空中に浮いた円形の足場の下を覗き込む、そこはまるで星や月が隠れた夜空のような深い闇が広がっておりラウラの言う通り足を滑らせたらおしまいだな。


「そういえば彼らは?」
「ここにはいないね。逃げられたのかな?」


 窃盗犯の猟兵崩れた違いないことをラウラが指摘してフィーが逃げたんじゃないかと話す。


「まさかここから落ちたんじゃ……」
「そもそもあいつらはこっちに来てないんじゃないの?わたし達をおびき寄せるエサだったのかもしれないよ」


 エステルは顔を青くして落ちたんじゃないかと言うが、フィーの言う通りそもそもこの特異点に巻き込まれていない可能性もある。


「どの道ここを脱出しなければそれも分からない、特異点を出るにはそこを支配する存在を倒すしかないみたいだけど……」
「絶対にこの上にいるのよね……」


 俺の呟きにエステルは上を見上げてため息を吐いた。少なくともここからでは頂上は見えないな。


「まあ愚痴を言っても仕方ない。上を目指して進むぞ」


 ジンさんの言葉に俺達は頷いた。ここでジッとしていても脱出なんてできないだろうし先に進むしかない。


「それでどうやって上に向かうの?」
「あそこに螺旋階段があるぞ。あれで上に向かえるんじゃないか?」
「なら行きましょう」


 フィーがどうやって上に向かうのかと言うが俺は空中に浮いた通路の先に螺旋階段があるのを
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