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豊臣秀吉が異世界で無双系姫騎士やるってよ
第10話:外交と罠
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シラ兄上もこいつらの解りやすい罠を察してか、目で合図して豊臣秀吉(わたし)を上座に座らせようとしている。
もう……自分がムソーウ王国の新しい国王になった事をベネット男国に教える気は無さそうだなサカシラ兄上。
そして、いちいちドウカァーの様子を視ながら出されたコース料理を食べるサカシラ兄上。
……許せドウカァー。
恨むなら、お前が毒味役を買って出なければならない程ムソーウ王国を窮地に追いやった、あの人の味を知り過ぎた熊の様な無戦術な旧国王を恨め。
ん?
なんだこの視線は?
敵意や殺気とは……ちょっと違う……
……なんだあの槍兵……なんて悲しそうな顔をするんだ……

で、
無事に出されたコース料理を完食する私達ですが、正直言って、味の感想を訊かれても困る!
緊張感のせいで舌の感覚が完全に麻痺していたんで!
サカシラ兄上も似た様なモノらしいのか、会食が終わった途端に疲労感満載の溜息を吐きおった!
ただ……ドウカァーだけは満足気だった……
前言撤回!
貴様を毒味役に決定じゃ!今日決めたぁー!
幸い、出されたコース料理に毒は入っていなかったが、今度は風呂に誘われた。
何を狙ってるんだか……
と言うか……随分豪勢な風呂だなぁー……
この風呂場を造る際に支払った金額は……豊臣秀吉(わたし)がかつて造った黄金の茶室の金額とどっちが高いんだろうぅ……
と言うか……
満足感が減って疲労感が増す入浴なんて、生まれて初めてだぞ!

ここでふとあの男の事を思い出した豊臣秀吉(わたし)
あれは……豊臣秀吉(わたし)がまだ関白だった頃か?
前田慶次。
こやつがある日この豊臣秀吉(わたし)に謁見したのだが、その際、豊臣秀吉(わたし)に平伏しながら顔を右隣にいる前田利家の方を向いて、利家の目玉を危うく飛ばしかけたよな?
しかも、豊臣秀吉(わたし)の目の前で猿ダンス。既にあっちの世界の住人ではなくなった今なら兎も角、関白の時にそれをやるか!?
あの時、豊臣秀吉(わたし)は不満げな表情を浮かべていたが、白状するとね、あの時笑いを堪えるのに必死だったんだぞ!
おまけに利家が滝の様な冷や汗を掻くと言うダブルパンチだったからな……「あの場でよく笑わずに不機嫌な表情を保ったな!」と当時の豊臣秀吉(わたし)を褒めたいくらいだわ!
だからなのか……慶次に向かってこう言っちゃったんだよな……
「気に入った。今後、どこでもその意地を立て通せ。余が許す」
て。
懐かしいな……
……あの男が今回のベネット男国のこの罠を観たら、何と言うであろうか……

で、結局夕飯までご馳走になって……用意された客室で就寝……
……出来る訳ねぇだろ!
「ドウカァー、起きとるか?」
「はい?」
はい?って……こいつ本当に大丈夫か?

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