第四章
29.ムーンブルクの王女
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。ならば、ローレシアとサマルトリアの軍を動員してロンダルキアを攻め、大規模な残党掃討戦をおこなうしかないのではないか。それがロスの考えであった。
「僕は反対しないって。ロスが世界のために戦い続けなければいけないと思うなら、続ければいい。莫大な戦費をかけて軍を動かすべきと思うなら、そうすればいい。僕は手伝うし、父さんにも協力するように言う」
そしてカインは微笑んだまま、ロスを見て付け加えた。
「でも、敵は強いよ? もしかしたらハーゴンが生きていた頃よりも手強いかもしれない。だから相手の想定と準備を上回っていく必要はあるだろうね。しっかり計画は詰めていこう」
ロスは二人と目を合わせてからうなずくと、視線を訓練中の兵士に戻す。その表情は、締まっているとも、硬いとも言えるものだった。
「次は……失敗が許されないだろうな」
独り言のようにつぶやかれたロスの言葉。
カインは独特の人懐っこい表情で、それを拾った。
「神や精霊の加護がなくても、君にはカインという名の友人の加護があるさ」
「ちょっと。そこにはわたしの名前も入れといてよ」
「……やっぱり次にロンダルキアを攻めるときには、アイリンも来ちゃう感じ?」
ムーンブルクの王女は、もちろん、とローブを躍らせた。
「まだこっちの城は復興中だから、兵士さんたちはあまり出せないと思う。でも、わたしは絶対に行く。たとえあなたたちが反対したとしても、よ」
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