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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第93話 鈴の音
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破らないようにゆっくりと染み込ませていきます」


 エステルの指摘にエマは頷いて答える。そして地図全体が液体で覆われた頃、エマは杖を取りだして何かの呪文を呟き始めた。


「私達の知らない言葉でしょうか?興味深いですね」


 エマの呟く言葉は聞いたことのない単語ばかりだった、それを聞いていたクローゼは興味深いと話す。


 凄いね、わたしは難しい言葉なんか聞いてたら直に眠くなっちゃうよ。


「蒼き炎よ、我が示す探し物を汝の清浄なる炎で導きたまえ」


 その言葉と同時にエマの杖の先から小さな蒼い炎が出て地図に落ちた。


「ちょっとエマ!地図が燃えちゃう……えっ?」
「炎が動き始めたわ」


 エステルが慌てるが蒼い炎が地図をゆっくりと移動し始めた。これにはシェラザードも驚いていた。


「凄い、炎が生きてるみたいに動いてる……どんな原理何だろう?」
「この方角はマルガ山道か」


 ティータは興味深そうに目を輝かせて炎の動きを目で追っていた。ジンは炎の向かった先がマルガ山道であることを呟く。


「炎がどんどん道を昇って行ってるな。あっ、止まったぞ」
「ここって翡翠の塔がある場所じゃないか?」


 リィンは炎の止まった場所を見てラウラが場所の名前を呟く。


「ここに窃盗犯がいるって事?」
「はい、恐らくは……」
「なら話は早ぇじゃねえか。さっさとそこに向かって盗人共を……」


 エステルの問いにエマが頷いた。それを見ていたアガットはパンッと拳を鳴らして気合を入れる。


 だがその時だった、不意に聞こえた鈴の音に全員に緊張が走る。


「今のって昨日の……」
「まさか誰かがまた……」


 ティータが顔を青くしてクローゼが誰かが倒れたんじゃないかと察した。


「直に状況の確認をしないといけないわね、数人は残った方が良いんじゃないかしら?」
「同感だな。執行者を放っては置けん、また何かしてくる可能性がある」
「しかしこれだと俺達も町から離れられねぇな」
「そのことなら何とかなりそうよ」


 シェラザードは状況の確認をするのと町の防衛の為に数人は残った方が良いと言う、それにジンも同意した。


 彼の言う通り執行者がどこにいるか分からない、窃盗犯と一緒にいてくれたら一番楽だけどその可能性は低いだろう。


 町の防衛もしないといけないので満足に動けないとアガットが言うとアイナが何とかなりそうと話をし始めた。


「昨日皆に各関所を回ってもらった際に状況をまとめた報告書を渡してもらったでしょ?それで軍に話が行って町の防衛の為に部隊を派遣してもらえることになったの」
「もう情報が来たのかい?ギルドの
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