第8話:仇を恩で返す(?)
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」
アムは、馬鹿を見る目でグートミューティヒを見た。
「それって……真夏の話よね……」
が、グートミューティヒは冷静に反論した。
「いや、真冬で豪雪期の雪山でと書かれていたよ。もしかしたら、低体温症による錯覚かも」
そして……大袈裟に熱がり続けたオーガが仰向けに斃れ、そのまま動かなくなった。
「……冗談でしょ」
グートミューティヒはオーガの魔の手からアムを助け出した事を安堵した。
「いやぁー、間に合って良かったですね?」
アムはグートミューティヒの態度に混乱した。
「確かに助かったけど……何でアンタがそれを喜ぶのよ?」
「それは勿論、貴女に借りが有るからですよ」
「借り?」
アムは意味が解らなかった。
今までアムはグートミューティヒに様々なモンスターを差し向けたが、グートミューティヒに恩を売った覚えは無い。
だが、グートミューティヒの言い分は真逆だった。
「だって、君の歌のお陰でこの辺で悪さしていたモンスターを探し出せたじゃん」
それを聴いて嫌な予感がするアム。
「探し出せた……もしかしてアンタ……私の歌を頼りにモンスターを探してたって言うの!?」
「うん!」
嬉しそうに首を縦に振るグートミューティヒを視て、アムは愕然とした。
アムがグートミューティヒを倒す為に行って来た努力をドッキリに例えるなら、『仕掛け人がターゲットの手の平で踊る』様なモノだ。
「私って……私……て……」
アムは、自分の不甲斐無さに失望し過ぎて失神した。
「あ!?おい!大丈夫か!?おい!」
アムが目を覚ますと、湖に浮かんでいた。
「ここは?」
「目が覚めたかい?」
目の前にグートミューティヒがいるので慌てて距離を開ける。
「うわぁー!?あ!?うわぁー!」
アムが慌てる中、グートミューティヒは冷静に語り掛けた。
「大丈夫。攻撃はしないよ」
「何言ってるの!?アンタが人間で私がモンスターよ」
「それがどうかしました?」
アムはグートミューティヒの質問の意味が解らなかった。
「『何で?』?……何を言っているのか解ってるの?」
グートミューティヒは何故不思議がるのかが解らなかった。
「何故そこまで警戒するんですか?戦う理由は無いのに」
「無い……アンタが人間で私がモンスターよ!」
「それは、種族や分類が違うってだけの話でしょ?それのどこが戦う理由なんですか?」
アムは予想外の質問に困惑した。
目の前にモンスターがいるから戦うと言う常識が、このグートミューティヒにはまるで通用しないからだ。
「モンスター……」
アムはここでグートミューティヒの戦闘方法を思い出し、グートミューティヒの人間とモンスターの関係に関する常識が通用しないが綺麗事でも嘘偽りでもない事を確信してしまった。
「そこの糞女、アンタ何者なの
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