第一章
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戦前の野球
日本に野球が伝わったのは明治の頃であり今の日本のプロ野球機構が創設されたのは昭和九年のことだった。
昭和十年に阪神タイガースが創設された、このチームの本拠地が甲子園球場でありこの球場が高校野球でも使われていることは日本で知らない者はいない。
しかしだ、台湾から日本の大学に留学に来ている呉理恵小柄で黒髪をショートにしてはっきりとした黒い目と小さな赤い唇と白い肌それに卵型の顔を持つ彼女はその話を聞いて驚きの声をあげた。着ている服は実に可愛らしいものである。
「戦前の日本の学校が今と違うのは知ってたけれど」
「旧制中学ね」
大学で同じ学部でそこで知り合い友人となった伊月ゆう、一七〇の背で細い垂れ目で黒髪をロングにして大きな微笑んだ形の唇と長い脚が目立つ見事なスタイルの彼女が応えた。青のジーンズがよく似合っている。
「五年あったのよ」
「今は三年でね」
「それで高校野球はね」
「その中学の時にやってたのね」
「そうだったのよ」
戦前即ち二次大戦前はというのだ、二人は甲子園球場の一塁側の席で阪神が勝った後で話をしていた。
「その頃はね」
「そうだったのね」
「高校はね」
戦前のというのだ。
「大学みたいな感じだったのよ」
「今で言うと」
「だから兵学校や士官学校も」
海軍それに陸軍のというのだ。
「中学を出てね」
「入ったのね」
「それでそこからね」
高校からというのだ。
「大学にね」
「行ってたのね」
「そうだったのよ」
「今と違うわね」
「そうなのよ」
「中学でここに来ていたのね」
甲子園のグリーンとダークブラウンの二色のグラウンドを観つつ言った、この球場では内野は今も土なのだ。
「そうなのね」
「それで凄い勝負もあったそうよ」
「戦争前も」
「プロでも今で言う高校野球でもね」
どちらの野球でもというのだ。
「そうだったのよ」
「勝負が繰り広げられていたのね」
「それでね」
伊月は暮にこの話もした。
「昔の日本って台湾も半島も領土にしていたでしょ」
「そうそう、昔はね」
呉はまさにと応えた。
「台湾は日本で」
「それで法律もね」
「日本の法律だったわね」
「それが施行されてたでしょ」
「総督府からね」
台湾総督府である、半島の方は朝鮮総督府であった。
「統治していて」
「法律も施行されていたのよね」
「日本のね」
「学校だってね」
こちらもというのだ。
「日本の学制でね」
「旧成中学だったわ」
「そうだったのよね」
こう呉に話した。
「昔は」
「戦争前はね。それで高校野球も」
「そちらもね」
「台湾の学校も出ていて」
「半島の方もね」
「そうだったのよね」
二
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