助言する狼・ラルフ大佐の辛口婚活アドバイス
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クラークの泣き声がますます大きくなっていく。いい歳をしたおっさんが隣で泣き喚くものだから、周囲の客が好奇の視線を注ぎ、くすくすと笑い始めた。
「みっともねえツラしやがって。せっかくの端正な顔が台無しじゃねえか。ほら、いいかげん泣くのはやめろ。話を聞いてやるからよ」
「うっ……ぐすっ……本当ですか?」
「ああ。だからもう泣くな」
ラルフは子どもをあやすようにクラークの背中をさする。
ほどなくクラークは泣き止み、指で涙を拭い始めた。まったく世話の焼ける部下だ。
クラークは汗をかいたグラスを掴み、氷が溶けて薄まっているバーボンをぐいっと飲んだ。
すっかり落ち着きを取り戻した彼を見て、ラルフは安堵の息を吐いた。
「やっといつものお前に戻ったか。よかったよかった。で、早速本題に入るが、お前はどんな女と結婚してみてえんだ?」
「そうですねぇ……年齢は二十五から三十五歳くらいで、容姿はバニラ・スカイに出演していた頃のペネロペ・クルスみたいな感じが理想です。それから常識的で、読書家で、知性と教養のあるプロレスマニアの女性がいいです」
クラークは理想の条件を並べ立てた。それも、至って真剣な表情で。
彼が述べた条件全てに当てはまる女性など、世界中のどこを探してもいるわけがない。
さすがのラルフも呆れ果て、盛大に溜め息をついた。
「お前なあ……その条件、だいぶ高望みどころか、百パー無理だと思うぞ?」
「えっ、どうしてですか?」
クラークが真顔で訊いてきた。
どうやらこの世に存在しない女性を求めていることに全く気づいていないようだ。
「まあ、年齢はオーケーとしてだな、理想の外見のレベルはもっと落とさないと厳しいだろうな。大体、女優並みの美人でまともな女は、早いうちに他の男の物になってんだろ? 残りの美女はわがまま放題やって、男を選り好みしまくって婚期を逃しかけてるクソビッチだ。つまり、お前が婚活市場で奇跡的にペネロペ・クルス並の美女と出会えたとしても、そいつの中身は確実にクソビッチということだ」
「そんなあ……。じゃあ、外見はある程度妥協しますから、せめて知的で読書家で、プロレスマニアな女性を――」
「それも無理だ」
ラルフは即答し、グラスに残っているテキーラを飲み干した。
「なぜですか!?」
「よーく考えてみろ。言っちゃあなんだがプロレスっつうのは、俺らの国でもこの国でも、教養のない低所得者層向けの娯楽っつう位置付けだろ? そんなのを観戦するのが趣味な女に、知的な読書家はまずいないと思うぞ。高学歴の読書家なのにプロレスマニアをやってるお前が相当な変わり者なだけだ」
「そ、そこまで言いますか!? まあ、変わり者な自覚はありますけど……」
クラークは渋々といった表
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