ラルフとクラークの最低な酒の肴
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点、レオナだとちょっと……」
この先は内容が内容なだけに、クラークは周囲の客に気を遣って声を潜めた。
「おっ、何だ? ごにょごにょしてねえではっきり言えよ、このむっつりスケベ」
「失敬な。パーソナルハラスメントで訴えますよ」
「何でもかんでもハラスメント扱いすんじゃねえ! ムチ子じゃあるまいし。で、レオナだとちょっと何だっつうんだよ?」
「いや、その……日頃の無表情ぶりや抑揚に欠けた話し方から推測するに、ベッドの上でも無反応なんじゃないか、と」
「あー、マグロってことか! あの娘ならその可能性は大いにあるな!」
あろうことかラルフは店中に響き渡るような大声で言った。
周囲の女性客が一斉にぎょっとした表情を浮かべ、蔑むような眼差しを投げてくる。
クラークは慌てて唇の前で人差し指を立て、
「大佐、声が大きすぎますよ! 周りの女性達が白い目で見てるじゃないですか」
「悪ぃ悪ぃ。だがなぁ、無口な女に限って無茶苦茶エロかったり、ベッドの中での反応がよかったりするんだよ。これがまた! レオナもああ見えてその手の女かもしれねえぞ」
ラルフは小声で囁き、お世辞にも品があるとは言えない笑い声を漏らした。
彼の好色そうな笑みを目の当たりにして、クラークはふと冷静に考える。
こんな話をしていることがレオナとウィップに知られたら、これまで築いてきた信頼関係が一瞬にして瓦解するだろうな……と。
ハイデルン傭兵部隊は九割以上が男性で構成されている。
したがって、男だけで飲む機会が必然的に多くなり、数少ない女性隊員の話題が酒の肴になりがちだ。
しかも、大半の女性隊員は「ありゃあ本当に女なのか?」と疑いたくなるような者ばかりなのに、レオナとウィップは並の女性より美しいものだから、酒の席で話題に上る回数が自然と多くなる。
そして健全な男どもは美少女達のあれやこれやを妄想して酒の肴にするのである。
そのどうしようもない『健全な男ども』の一人が自分なのだから、我ながら最低な上官だよなぁ……と自嘲せざるを得ないクラークであった。
「――それより、夜に関しちゃムチ子のほうがよっぽどやばいんじゃねえのか?」
ラルフは何とも言えない渋い顔をしながら言った。
ウィップの何がどうやばいのかがわからず、クラークは首を捻る。
「……それはどういう意味で?」
「日頃の戦いぶりを見てみろよ。ありゃどう考えてもドSだろ? きっとベッドの上でもあんな調子だぜ」
ラルフは恐ろしいものを見たかのような顔をして、わざとらしく肩を震わせた。
それはそれは愉快そうな高笑いを上げてムチを振るうウィップの姿が脳裏に蘇り、クラークは戦慄する。
「つまり、ヒステリックな叫び声を聞かせられながらムチで引
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