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【KOF】怒チーム短編集
無口なレオナとコミュ強大佐
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つけた。

「おー、怖っ。そんなに怒ると皺ができるぞ。で、レオナはどこ行ってきたんだ?」
「工場の……見学に」

 レオナは小さな声でぽつりと言った。
 ……本当だ。大佐の言っていたことは。レオナは工場見学が好きなんだ。

「お前も好きだなあ。どんな工場に行ってきたんだ?」
「野菜の生産工場です」
「へえ。その工場ではどんな野菜を栽培してるんだ?」
「葉物野菜です。ほうれん草とか、ケールとか」
「なるほどねえ。根菜よりは栽培しやすそうだもんなあ」
「そうですね」

 静かに肯定したレオナがカフェラテを飲む。
 彼女がカップを置いてから、再び大佐が口を開いた。

「そこの土産はやっぱり野菜だったのか?」
「いえ、お土産はありませんでした。その代わり、試食体験がありました」
「そうだったのか。野菜好きのお前には嬉しい体験だったな」
「はい。どの野菜もとても美味しかったです」
「そりゃよかったな。ところで、野菜工場の見学で試食体験があったってことは、ビール工場も見学に行くと試飲させてもらえるのか?」

 大佐の質問に、レオナは一瞬考える様子を見せてから、

「そうですね……大抵のビール工場で試飲体験を行っていると思います」
「おっ、だったら俺も工場見学してみるとすっかな。どうだ、今度のオフに一緒に行ってみねえか? 俺が車で連れてってやるからよ」
「はい、喜んでご一緒させていただきます」

 レオナは普段通りの素っ気ない声で承諾した。
 けれども、よく見ると口角がわずかに上がっている。どうやら大佐の誘いを本当に嬉しく思っているようだ。

 無口なレオナを相手に軽快なトークを繰り広げたうえに、一緒に工場見学に行く約束まで取り付けるだなんて……大佐のコミュニケーション能力は異次元レベルだわ。

 驚愕する私をよそに、大佐はレオナと「どのビール工場を見学しようか?」と相談を交わしている。
 自然と会話が弾んでいる二人を、私は信じられない思いで眺めていた。
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