暁 〜小説投稿サイト〜
【KOF】怒チーム短編集
無口なレオナとコミュ強大佐
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
話題を振ってやりゃいいんだよ」
「ですからその、彼女が好きそうな話題がわからないから困っているんですけど」
「工場見学だよ」
「工場見学?」

 思いも寄らない情報を耳にして、私と中尉は声を揃えて聞き返した。

「ああ。この前は大手菓子メーカーの工場を見学したって言ってたぜ。お土産でいろんなお菓子の詰め合わせがもらえましたーって喜んでたぞ」
「えっ、レオナが喜んでいたんですか!?」

 心底驚いた私は、思わず大きな声を出してしまった。
 私がアックス小隊から怒部隊に異動してきてから三ヶ月余り。その間、レオナが私の前で感情を見せたことなど一度もない。
 そんな彼女が喜ぶだなんて、本当にあり得るのだろうか?

「そんなに驚くこたぁねえだろ。レオナだって、感情を持った一人の人間なんだからよ」
「でも、彼女が感情を見せたことなんて一度もありませんけど……」
「あいつは感情を表に出すのが苦手なだけなんだ。よーく観察してみると、わずかな表情の変化から感情を読み取れるようになるけどな。ま、慣れだよ、慣れ」

 大佐は日に焼けた強面を緩め、にっと笑った。
 がさつでマイペースな彼が、レオナの感情を汲み取れるほどの繊細な観察眼を持ち合わせているだなんて……。
 にわかには信じがたい。

「そうなんですか。私も早くレオナの感情を読み取れるようになりたいです」
「あいつの感情がわかるようになると、会話も楽しくなるぞ。まあ、焦らず気長に表情を観察してみることだな」
「はい、そうします」

 私が素直に返事をすると、大佐は満足げに頷いた。



 その日の夕方、事務作業が一段落して基地内のカフェに行くと、窓辺のテーブル席で向かい合って座っている大佐とレオナを発見した。

「大佐、お疲れ様です。レオナもここにいたのね」
「ええ」

 レオナは相変わらずの無表情で淡々と答えた。

「やっと参謀会議が終わったからさあ、コーヒーでも飲んで一息入れようと思ったら、ちょうどレオナに会ったんだよ。だからカフェラテを奢ってやったんだ」
「いいなあ。大佐、私にもご馳走してくださいよ」
「おう、いいぜ。ただし、ハニーキャラメルマキアート蜂蜜多めのトレンタサイズは却下する」
「えーっ、それがいいのにぃ」
「だーめ!」
「どうしてですか!?」
「あんなハイカロリーなもんばっか飲んでたらデブになるだろ? 自己管理のできねえ奴は特殊部隊員失格だ」
「うっ……そ、そうですよね」

 痛いところを突かれてしまい、私は見事に撃沈した。

 大佐と一緒に注文カウンターへ向かった私は、仕方なく妥協してハニーミルクラテを選び、彼に支払ってもらった。
 レオナが待つ席へ戻り、カップをテーブルに置く。
 所在なさげに窓の外を眺め
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ