突然の再会
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ポテトを電話で注文した。
「これでよし。ところで、お前は今、何をしてるんだ?」
「今年の秋から大学に通ってるよ。高校は父さんのおかげで卒業できたよ。ありがとう」
笑顔で礼を述べた娘を見て、ラルフは首を捻る。
「俺のおかげで?」
「そう。父さん、あたしの養育費を毎月送ってくれてたでしょ? そのおかげで何とか高校に通い続けることができたんだ」
「そうだったのか……」
ラルフは暗澹たる思いに駆られ、沈んだ息を吐いた。
娘の話から察するに、母娘二人での暮らし向きは決して楽なものではなかったようだ。
俺のせいで、娘にいらぬ苦労をさせてしまったかもしれない……。
ラルフは父親として至らなかった己を責めた。
「そういや、お前の母ちゃんはどうしてるんだ? 元気にやってんのか?」
「うん、元気にしてるよ。今は保険の営業をやってる。毎日大変だーってこぼしてるけどね」
「ああ、その仕事は大変だろうな。シールズ隊員並のタフな精神力が必要だ」
あえて冗談めかして言うと、娘は声を立てて笑い、「そうだね」と頷いた。
それから二人は積もる話に花を咲かせた。
娘は父と離れ離れに暮らしていた期間の出来事をおおまかに話したあと、母親や友人、キャンパスライフについて楽しげに語り始めた。
新しい父親がどうのという話題は一切出てこない。おそらく、別れた妻は再婚せずに一人で娘を育ててきたのだろう。
あるいは、この十年ほどの間に再婚して数年で離婚したのかもしれないが。
ラルフとの結婚生活が十年と持たずに破綻したのと同じように。
一通り近況を話した娘は、わずかに残ったコーヒーを飲んでから再び口を開いた。
「最近まで母さんと一緒に暮らしてたから、父さんのところに行きにくかったんだけど……今は友達とルームシェアしてるから、母さんに気兼ねしないで父さんに会いに来れるよ」
「そうか。だったらいつでも訪ねておいで――と言いたいところだが、俺は仕事柄、家を空けていることが多いし、連絡もつかねえことが多いからなあ……」
「えーっ。じゃあ、父さんに会いたい時はどうすればいいの?」
「俺のほうから連絡しよう。いつからいつまで休暇だってな。その中からお前の都合のいい日を指定してくれりゃ、車を飛ばして会いに行くよ」
「ほんと? じゃ、連絡先を教えて」
「おう、いいぜ。ちょっと待ってな」
ラルフは充電器に置いてあるスマートフォンを手に取り、娘と連絡先を交換した。
「ありがとう。これでまた父さんに会えるね」
そう言って娘は嬉しそうな笑顔を見せた。
ラルフはすっかり冷めてしまったコーヒーを飲み干し、マグカップをテーブルに置いた。
その時、インターフォンの音が鳴り響いた。注文したピザが届いたのだろ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ