意外な真実
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結婚していたとしても何ら不思議はないけれど……でも、あの大佐がねぇ……。中尉に奥さんがいたっていうならまだわかるけど」
「そうね……。中尉はむしろパートナーがいないことが不思議なくらいだもの」
「でしょう? あんなに頭が良くて、常識的で、仕事ができて、おまけに高身長のイケメンなのに……」
「ははは、嬉しいことを言ってくれるじゃないか」
突然、どこからか男の声が聞こえてきた。クラークの声だ。
「中尉!? 今の話、聞いてたんですか」
ウィップが慌てた様子で辺りを見回す。
艦橋の陰からクラークが姿を現し、レオナ達の前にやって来た。
「こんな所で噂話なんかするもんじゃないぞ。誰が聞いてるかわからないんだから。ま、いい噂話なら大いに結構だがな」
クラークは鷹揚に笑い、艦橋の外壁に背を預けた。
そしてサングラスを外し、夜空を見上げると、「今夜は星が綺麗だな」と呟いた。
「あの……大佐に奥さんがいたってこと、中尉はご存知だったんですか?」
ウィップの質問に対し、クラークは「もちろん」と頷いた。
「もっとも、ここに入隊する前に別れたようだがね。ちなみに、彼には娘もいるぞ」
またしても意外な事実が発覚して、レオナとウィップは揃って「えっ」と声を漏らした。
「大佐のお嬢さん、って……」
「どんな女の子か全く想像がつかないわね……。中尉、大佐のお嬢さんに会われたことはありますか?」
「ああ、一度だけな」
「どんなお嬢さんなんですか?」
「これがまた大佐にそっくりなんだ。顔も性格も」
クラークはさも面白そうにくっくっと笑い出した。
レオナはラルフがそのまま女性になったような少女を想像してしまい、思わずふふっと噴き出した。
「見てみたいわ。大佐のお嬢さんを」
「私も興味あるわ。怖いもの見たさに近いものがあるけど……」
「おい、ウィップ。さすがにそれは失礼だろう。彼女だって大佐に似たくて似たわけじゃないんだぞ。子どもは親も遺伝子も選べないんだからな」
クラークが真顔でウィップを咎めた。
当のウィップは目を点にしてクラークを見上げ、
「中尉……何気に私より失礼なことを仰っていませんか?」
「おっと、つい口が過ぎてしまったようだな。大佐のお嬢さんも、いくら父親に瓜二つとは言っても、女の子だからそれなりに綺麗だぞ。多少は別れた奥さんにも似てるんだろうな」
大佐に瓜二つの、綺麗な女の子……?
その二つの要素を持つ少女は、レオナにとってはもはや想像の範疇を超えた存在であった。
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