第五章
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「お前もダイエットに苦労しただろ」
「それもかなりな」
「それで言うな」
「言われて嫌で体形変えるのに苦労したならな」
「すぐに変えられないことで攻撃するな」
「すぐにはどうしようもないからな」
だからだというのだ。
「過去と同じでな」
「これで攻撃するのも卑怯なんだよ」
「お前のやってたことは卑怯だったんだ」
「それが過ぎてたんだ」
こう言うのだった。
「だから俺達も止めたんだ」
「これ以上は見過ごせなかったからな」
「若しお前が止まらなかったら見捨ててたぞ」
「そうしていたぞ」
「そうだったんだな、いやあいつへの怨みで」
小学校時代太っていることを言われたそれへのとだ、橋上は友人達に対して深刻な顔で答えたのだった。
「徹底的にやったけどな」
「それでも卑怯だったんだ」
「それが過ぎてたんだよ」
「そりゃ怨みはわかるさ」
「嫌な思いしたことはな」
「けれど卑怯は過ぎるな」
これは駄目だというのだ。
「本当にな」
「お前はそうなっていたんだ」
「これ以上は駄目っていう位のな」
「だからもう止めろ」
「二度とあそこまでするな」
「若しやってたら見捨てられたんだ」
橋上は友人達が言うそのことに項垂れて応えた。
「そうだったんだ」
「そうだよ」
「俺達も本気だったんだ」
「これ以上はって思ったんだよ」
「放っておけないってな、それに西占な」
今度は彼女のことを話した。
「過食症で太っただろ」
「お前に延々と言われて言い回られて」
「かなりストレス溜まってたんだぞ」
「あれ以上ストレス溜まると危なかったぞ」
「自殺してもおかしくなかったぞ」
「いや、そこまでやるつもりなかったよ」
自殺と聞いてだ、橋上は驚いて言った。
「そんな、幾ら怨んで嫌いでも」
「それでも危なかったんだよ」
「だから怨みを晴らすのも考えろ」
「卑怯になり過ぎるな」
「それで相手を自殺するまで追い詰めるな」
「そうするよ」
項垂れてだった。
橋上は以後嫌いな相手怨んでいる相手に何かすることはあっても徹底的にせず卑怯な行いに対しても慎む様になった、そしてだった。
やがてだ、西占と自然と向かい合ってだった。
お互いに謝った、そのうえで二人で話した。
「体形のことはな」
「言ったら駄目よね」
「すぐにはどうしようも出来ないしな」
「反論しようがないし」
「相手を傷付けて怨まれるし」
「絶対にすべきじゃないわね」
二人で俯いて話した、そして以後二人共人の体形のことは言わなくなった。二人の関係はよくはならなかったがもうお互いのことは言わなくなった、それぞれ苦い経験とそこから学んだ教訓の重さが故に。
卑怯な男 完
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