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卑怯な男
第一章

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                卑怯な男
 小学校の時散々言われた、兎角この頃橋上陽介は太っていてそのことから女子に嫌われていた。だが。
 中学に入ってから痩せた、水泳をはじめて毎日泳いで部活で汗をかいていてだ。
 見る見るうちにそうなった、痩せた彼は長身ですらりとしていて細面で彫のある顔立ちで鳥の巣の様な黒髪の外見になった。
 それでもう女子から嫌われなくなったが。
「小学校の時は忘れられないよ」
「ああ、お前デブって言われてたな」
「汗臭いとか汚いとか」
「女子にな」
「散々言われてたな」
「だからだよ」
 親しい友人達に忌々し気に言うのだった。
「もう二度と太りたくないよ」
「それでいつも運動してるんだな」
「部活で泳いで走って」
「熱心にやってるんだな」
「部活ない日も自主トレして」
「それで全国大会にも出たけれど」
 水泳のというのだ。
「それ以上にだよ」
「太りたくないか」
「何があっても」
「そうなんだな」
「だからこれからも」
「運動するよ、絶対に太るか」
 こう言うのだった。
「そして言われて嫌われたことは」
「忘れないか」
「何があっても」
「覚えてるんだな」
「そうだよ、何があってもな」
 憎しみに満ちた目で言った、その憎しみの対象はもう言うまでもなかった。そんな彼が高校に進学するとだった。
 小学五年と六年の時に同じクラスで彼を特に言っていた西占益美色白で黒髪をショートにした垂れ目の中背で普通のスタイルの彼女とだった。
 同じクラスだった、それで彼は同じ高校に進学した中学からの友人達に話した。
「西占と同じクラスだったよ」
「あっ、そうなのか」
「お前西占と同じクラスか」
「そうなったんだな」
「中学も同じ学校だったけれどな」
 それでもというのだ。
「クラス違ったけれどな」
「三年間な」
「そうだったな」
「だから縁なかったな」
「けれどな」
 それがというのだ。
「高校に入ってな」
「同じクラスか」
「小学校の時以来に」
「そうなったんだな」
「あいつが一番だよ」
 怨みと憎しみに満ちた目で言うのだった。
「俺に言ってくれたよ」
「デブだの臭いだの汚いだのか」
「太ってた頃にか」
「そう言ってたんだな」
「見てろよ」
 その目でさらに言った。
「あいつだけは許さないからな」
「だからか」
「仕返しするか」
「そうするか」
「ああ、暴力は振るわないけれどな」
 それでもというのだ。
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