第一章
[2]次話
馬鹿が描く政治漫画
福島太郎は漫画家だ、主に四コマ漫画を描いているがある日編集者に対してこんなことを提案した。
「政治漫画描こうかなって」
「思ってるんですか」
「そうなんですよ」
小太りで黒髪を右で分けたサングラスをかけた外見であるいやに甲高いその声で編集者に話している。
「最近」
「というと風刺ですか?」
「最近政治家が酷いと思って」
それでというのだ。
「実際にです」
「風刺をですね」
「しようと思いまして」
それでというのだ。
「考えてるんですが」
「じゃあ新連載でやってみます?」
編集者はそれならと応えた。
「今度の」
「そうしますか」
「ええ、四コマの人は」
このジャンルの漫画家はというのだ。
「普通にあちこちの雑誌で連載持ちますからね」
「俺もそうですね」
「先生も何本も持ってますね」
「そうなんですよね」
「ですから」
「新連載で」
「描いてみますか」
「そうしようか」
福島は編集者の言葉に頷いた、そうしてだった。
四コマ雑誌の一誌の新連載で政治漫画をはじめた、それは日本の政治家達を風刺するものであったが。
彼は風刺したつもりだった、だが。
「何だこれ」
「何だこの下らない漫画」
「政治家を貶めてるだけだろ」
「馬鹿にして作者だけ喜んでるだけだろ」
「庶民のことわかってないとかな」
「足が短いとかどうでもいいだろ」
読者はその作品を読んで眉を顰めさせた。
「水玉のネクタイとか関係ないだろ」
「趣味悪いとかな」
「それで税金上げるぞって脅すの何だよ」
「税金上げるのも政策だろ」
「誰だって税金上がるの嫌だけれどな」
「こいつこんなのもわかってねえのかよ」
「それがわかってないで政治漫画描くのかよ」
眉を顰めさせたまま言うのだった。
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