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猫をいじめると
第二章

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「全然反省していないどころかよ」
「恨んでるわね」
「全く、何処まで勝手なのよ」
「だから勝手なのがよ」
 この特質こそがというのだ。
「猫でしょ」
「考えてみたらとんでもない生きものね」
「そうね、けれどね」 
 それでもというのだ。
「そこは割り切ってよ」
「飼うことね」
「そうよ、怒るにしても程々よ」
 それ位で済ませろというのだ。
「くれぐれもね」
「恨まれて祟られるから」
「だからね」 
 それでというのだ。
「間違ってもいじめるなんてね」
「したら駄目なのね」
「そうよ、いいわね」
「いじめなんてしないわよ」
 亜衣は母に口を尖らせて答えた。
「私だってね」
「猫をそうしないわね」
「猫も人もね」 
 誰であってもというのだ。
「そんなことしないわよ」
「だったらいいけれどね」
「全く、しかしね」
 それでもとだ、亜衣は言った。
「引っ掻くなんてね」
「だからそれが猫でしょ」
「一緒にいるなら大目に見ろ?」
「そうよ」
 母の言葉は変わらなかった、そうして自分のところに来たクロに笑顔を向けて屈んで頭を撫でて猫じゃらしのおもちゃを出して一緒に遊んだ。娘はそんな母を見てやれやれとなった。それは彼女の父も同じだった。
 両親は猫に甘かった、だが彼女は猫は好きだが甘いという程ではなくクロを叱ることがあった、それが普通だと思っていたが。
 ある夜寝ていると不思議な夢を見た、その夢では。
 猫達が野原で車座の様に集まっていた、そのうえで話していた。
「あいつは許せないな」
「ああ、祟ってやろう」
「呪ってやろう」
「猫をいじめるとは許せない」
「そんな奴には報いを与えろ」
「そうしてやれ」
 何と猫達が人の言葉で話していた、白猫に黒猫、サビ猫に三毛猫に虎猫と色々いるが皆座って話していた。
「反省するまで祟るぞ」
「徹底的に不幸を与えてやれ」
「思い知らせてやれ」
「容赦するな」
 こんなことを話していた、そして。
 やがてだ、こんな話が出た。
「クロのところはどうする」
「ああ、あそこの娘か」
「高校生のな」
「あの茶髪の娘か」
「それって」
 亜衣は話を聞いてわかった。
「私じゃない」
「前にクロをいじめていたな」
 猫達は亜衣に気付くことなくこう言いだした。
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