第二章
[8]前話
それを山にしてだ、こう言った。
「山並にする」
「また思い切ったことを」
「そしてこれでだ」
今度は肋骨を取り出して言った。
「山の斜面を作る」
「山並に加えて」
「そしてこれでだ」
内臓も取り出した。
「雲を作るぞ」
「そうしますか」
「そして肉を大地にし」
言葉の通りしてだった。
「手足で大地を支えよう」
「その強さにしますか」
「うむ、爪はだ」
大地の支えにしたその部分を見て言った。
「多くの生きものにする、わしは羽根もあるが」
「それも使われますか」
「草木や蔦にしてな」
そのうえでというのだ。
「大地を覆う」
「羽根はそうされますか」
「腸が残っておるが」
内臓のその部分がまだあった。
「これは先程作り遺したな」
「そうしたですか」
「鰻や海老にしてな」
「さらに作りますか」
「そうする、血も残っておるが」
そちらも見逃さなかった。
「これは虹にする」
「そうされますか」
「わしは怒ったからな」
それ故にというのだ。
「もうな」
「とことんですね」
「やっているのだ」
血は虹にした、するとだった。
彼は既に首だけになっていた、空はその彼にどうにもという声で言った。
「あの、もうです」
「何もだな」
「流石に首だけでは」
「いや、まだわしの怒りは収まらん」
やはり怒った声で言うのだった。
「だからな」
「それで、ですか」
「まだ作る」
そうするというのだ。
「これからな」
「では何を生み出されますか」
「わしの残った怒りを全て用い」
そうしてというのだ。
「四柱の神を生み出す」
「そうされますか」
「これよりな」
こう言ってだった。
タナロアは男女二柱ずつ四柱の神々を生み出した、そして彼等に世を治め人を生み出す様に言ってだった。
満足してだ、空に上がって言った。
「これで収まった」
「怒りがですね」
「そうなった」
空に言うのでした。
「わしは満足した、ではこれからはな」
「どうされますか?」
「妻としてもう一つ頭を出してな」
そうしてというのだ。
「月とする、そしてわしは太陽となってな」
「太陽ですか」
「そうなってな」
「この世を照らしますか」
「そうしよう」
こう言って月も出してだった。
自分は太陽となって共に世界を照らす様になった、怒った神はその怒りのまま世界を創造し自分は太陽となって今も世界を照らしている。タヒチに伝わる古い話である。
怒れる神 完
2023・10・11
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