第一章
[2]次話
怒れる神
タヒチの話である。
世界には貝殻だけがあった、その中に真っ黒い肌を持つタナロアという神がいた。タナロアは貝殻の中に住んでいたが。
その中だ、彼は貝殻に尋ねた。
「聞きたいことがある」
「何ですか」
「貝殻はいつも閉じられているな」
このことを尋ねるのだった。
「そうだな」
「はい、そうですが」
「それで私は外の世界を知らないが」
「外ですか。何もないですよ」
貝殻は神に答えた。
「本当に何も」
「ないのか」
「はい、暗闇だけがあって」
それでというのだ。
「他のものはです」
「ないのか」
「それで私はその中をです」
「暗闇の中をか」
「漂っているだけです」
「そうなのか」
「本当に他にはです」
それこそというのだ。
「ありません」
「一体どんな状況だ」
タナロアは話を聞いて興味を持った。
「外の世界は」
「興味を持たれましたか」
「そうなった」
実際にというのだ。
「私もな」
「では開きますんで」
「それでか」
「外に出られて下さい」
「そうさせてもらう」
タナロアは頷いてだった。
そのうえで貝殻が開かれたのでその外に出た、すると。
真っ暗闇だった、それで神は言った。
「本当に何もないな」
「この通りで」
「わし以外に誰もいないか」
「これが」
「何という面白くない世界だ」
神は貝殻の言葉を聞いて怒った。
「こんなところに一刻もいたくないぞ」
「そう言われましても」
「いや、わしは怒った」
実際に怒った顔で言うのだった。
「だからな」
「それで、ですか」
「まずはお主に空になってもらう」
「私にですか」
「よいか」
「私もずっと暗い何もないところにいてです」
「嫌になったか」
神は貝殻に問うた。
「そうなったか」
「そう感じていたところです」
「ならだ」
「それならですね」
「これよりな」
まさにというのだ。
「そなたを空にする」
「わかりました」
貝殻も頷いた、するとだった。
タナロアは貝殻を高々と上げて天空にした、そして。
「そなたの少しの部分をな」
「どうしますか?」
「削ってな」
そうしてというのだ。
「岩と砂を作ろう」
「そうしますか、今度は」
「うむ、そうする」
こう言って実際にだった。
今度は岩と砂を作った、だがそれでも彼は怒っていてだった。
「わし自身も使う」
「えっ、それはまた」
「いいのだ、何もない状況よりだ」
神は貝殻がそうなった空に返した。
「ずっといい」
「だからですか」
「こうしてだ」
自分の背骨を手で取り出してだった。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ